2024年春闘は、久しぶりに大手企業を中心に、5%超の賃上げで妥結したというニュースが流れました。まだ最終結果ではありませんが、連合・第 2 回回答集計結果(2024年3月21日)では、1,446 組合の定昇相当込み賃上げの加重平均は16,379 円・5.25%だと報じられました。
企業側には良い人材の確保や定着を目指して、無理をして賃上げをしたところもあったでしょうが、働く側からすると物価高を補う賃上げは有り難いし、働きがいにつながるでしょう。
しかし、賃金水準を上げるために基準賃金の底上げ、つまりベースアップ、あるいは一人あたりの人件費の増額が必須要件です。この点では、中小零細企業の賃金水準が系列の親会社等に劣っている原因のひとつともなっています。
企業によっては、そもそもベアの仕組みを人事・賃金制度に盛り込めていないところが多くみられます。支払い能力を高めるためには、適正価格を仕入れ先に認めてもらうことも重要ですが、自社の賃金決定の仕組みを工夫する余地はまだあるのです。実質の手取りを増やすには、諸外国で実施されているように、企業内福祉関係を充実させることも今後は必要でしょうが、まずは基本となる賃金の充実です。
仮に賃金水準25万円の企業が毎年5%の賃上げを行いますと、同じ社員が在籍していると仮定しますと、25万円X1.054≧30万円となり、4年間継続できれば、平均賃金の水準は人を雇いやすくなる30万円になります。5%賃上げを今年だけのイベントに終わらせず、継続することが必要なのです。