公正な採用選考を通じて応募者との信頼関係を重視するニップスシステムセンター(福岡市、従業員数55人)。2023年卒の採用実績は、新卒内定4人に対し選考応募118人(前年比76%増)、エントリー502人(同30%増)で内定辞退はゼロだった。応募者へのリアルな情報の開示や面接での楽しい時間の共有といった特徴は、「採用と育成を一体のもの」と捉える同社の方針にも理由があるという。梶原大輔・執行役員ジェネラルマネージャーに聞く。
■社内外で研修9カ月 親身に教える前提で採用
前編では、公正な採用選考の宣言をはじめ応募者の笑顔や内面を引き出す面接での雰囲気づくり、会社にとって都合の良い情報だけでなく課題や問題点も含めて開示して十分納得してもらうといった、同社の採用における特徴を紹介した。それは採用後の育成・定着とも深く関わっているという。
「一般に採用業務は、『採用育成』業務だと思っています。例年4人の新卒社員の教育係も私が担当しているので、『この人が会社に残って成長するか』まで合わせてみる必要がある。会社に都合の良い事ばかり伝えて、入社したら『聞いてない』と早期離職してしまわないために、課題も含め本当のことを伝えて納得して入社してもらっています」
等身大の職場環境を伝え、それでも応募者に魅力を感じてもらうためには、社内を「本当に変える」必要がある。そのための従業員満足度向上の取組みが応募者への魅力増につながり、採用実績向上に表れていることが窺える。
図1に、同社の採用と入社後の研修・育成フローを示した。採用募集プロセスには就職情報サイトを活用。個性分析に長けた業務適性診断で多角的にデータを分析している。面接や説明会を含めた応募者とのやり取りは、梶原さん、磯部社長を含め主に4人で分担している。
「面接には、私は2時間ほどかけています。だからなるべく楽しい時間にしたい。笑顔の多い面接では、応募者の本来の人間性やポテンシャルが現れる。ある意味では厳しい面接ともいえます」
内定後、入社前後には手厚い研修を行う。入社前の3カ月は週3日程度、基礎研修としてシステム開発の基礎を学ぶ。入社直後には2~3カ月間、社外研修としてシステム開発の学校に通い、その後は社内で3カ月かけてOJT研修を行う。
「新卒採用を4人程度としているのは、私自身が親身に教えられ、かつ同期の『チーム』として適した人数だからです。研修中は、システム開発は楽しいと感じてもらうことを目的に、失敗を恐れず、自分たちの思ったように自由にシステムをつくることをサポートしています」
■採用手順書を社内共有 社員提案にまず「YES」
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