人材サービスのレバレジーズ(東京都渋谷区、従業員数約4500人)で働く工藤健真さん(20歳、写真)は、毎朝6時に起き7時40分過ぎには家を出る。軽度の知的障害を持ちながら、事務アシスタントとして顧客企業との採用業務に関する諸連絡や、求職者との面接日程の調整など幅広いサポート業務を担う。10月には、自身が卒業した特別支援学校の高校生徒向けに同社が行った短時間職業体験プログラムで、業務の指導や講師を務めた。職業体験当日に密着し、活躍の背景を探った。

■120超の業務、当事者がマニュアル作成
「もう少し声のトーンを上げると、より伝わりやすいかもしれません」
職業体験に訪れた自身の後輩でもある生徒にアドバイスする工藤さんは、東京都立志村学園高等部就業技術科の第9期卒業生だ。
学校ではビルメンテナンスコースに所属し、清掃業務などを学ぶ傍ら、科学・パソコン部で副部長を務めた。在学時にレバレジーズの障害者就労支援事業部である「ワークリア」での複数回のインターン経験を経て、2024年4月から同事業部で勤務を始めた。
ワークリアは、20~30代の若手の精神・発達障害者を中心に一定期間雇用し、他社への就職や自社での正規雇用につなげる事業。18年に開始し、東京や千葉の5拠点に現在150人ほどが勤め、1年後定着率は約90%と成果をあげている。
人材サービスをはじめITやメディア運営など、多岐に展開するレバレジーズグループ内の業務を受託しており、常時120を超える多様な職務がある。一人ひとりの「得意」を引き出す豊富な選択肢が、定着率の高さの背景の一つだ。また午前と午後で異なる業務を組み合わせるなど、細かい個別調整による工夫にも力を入れている。
工藤さんは勤務当初、カフェでの接客や清掃業務、事務入力作業などに従事。どのように仕事を身につけていったのか。
「業務ごとに用意されているマニュアルを1から10まで繰り返し確認して、実際の業務対応に備えました」
業務の切り出しとマニュアル化の例を図に示した。

例えば「派遣社員の契約書をPDFにし、社内システムに格納する作業」では、データ検索の方法やファイル名変更、保存するためのキーボード操作から上司へのチェック依頼まで、手順ごとに区切り、具体的に明記されているのが分かる。実際のマニュアルは、写真を多用しパワーポイントでスライド化。作成自体を障害を持つ社員自身が行うことで、より当事者のニーズに即した視点を重視しているという。
■毎週の1on1が個別調整のベースに
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