■成長見据えて優秀人材を確保・定着
学情の調査によると、2027年3月卒の大学生・大学院生が適正と感じる初任給は前年と同様に「25~29万円」が最も多く、26年卒比0.2㌽増の44.3%と微増。ただし、僅差で続く「20~24万円」が同3.0㌽増の43.6%へ上昇する一方、「30万円」以上の合計が同3.1㌽減の10.0%に低下した。

学生の初任給へのこだわりが和らいだとの見方もできるが、企業は競うように初任給増額に踏み切っており、新卒社員獲得競争はチキンレースさながらの様相を呈している。
ファーストリテイリンググループ(山口県山口市)は、世界で通用する競争力と成長力を強化するため、日本の新卒社員の初任給を3月に改定した。報酬を拡充することで、グローバル水準の採用と育成を加速。グローバルリーダー候補は37万円、地域正社員は28万円と従前から順に4万円、2万5千円引き上げた。

NTTデータ先端技術(東京都千代田区)は、能力が高い人材を積極的に獲得していく観点で、26年4月に入社する新卒社員の採用給を増額。給与には時間外手当として30時間相当額を含むが、例えば大学卒の標準的なケースで36万円、年俸ベースで約440万円と手厚くしている。
空調・衛生設備工事の大成温調(東京都品川区)は26年4月入社の初任給を、一律で2万5千円引き上げる。建設設備業界全体が抱える慢性的な人手不足と、急激な物価上昇を踏まえ、改定後の初任給は大学院卒が31万1千円、大学卒が30万円、短大・高専・専門卒が27万8千円とする。

宿泊業向けDX支援のメトロエンジン(東京都品川区)は26年4月入社の新卒採用で、初任給を30万円へと増額する。事業成長に伴い顕著になった人手不足への対応と、将来の中核人材の育成が狙い。なお入社後6カ月間は、トレーニング期間として25万円とする。
環境・医療関連機器を製造販売する荏原実業(東京都中央区)も、26年4月入社の新卒初任給を改定。将来の中長期的成長を支える人材確保と定着が急務として、大学院卒と大学卒の初任給について順に31万円、30万円と一律で4万5千円引き上げている。

不動産関連事業のオークハウス(東京都豊島区)は26年1月から、初任給を増額した。外国の現地法人設立を進めるなど、好業績を背景に人的投資を加速。スタッフの処遇を高め、高い価値を提供できる組織を目指して、初任給を30万円と従前から6万円引き上げた。

山梨中央銀行(山梨県甲府市)は、26年4月入社の初任給を最大で2万7千円引き上げる。大学院卒・大学卒の改定後の初任給は「システムアソシエイトコース」で28万7500円、「ゼネラルアソシエイトコース」で28万円、「オペレーションアソシエイトコース」で26万円となる。

このほか、松屋フーズホールディングス(東京都武蔵野市)が大学卒で現行比5千円増の27万円、東北電力と東北電力ネットワーク(宮城県仙台市)が大学卒で同1万1千円増の25万3千円、菓子製造の春華堂(静岡県浜松市)が大学卒総合職で同3万円増の25万円に増額する。
サカイ引越センター(大阪府堺市)は、26年4月入社の高校生の初任給を業界最高水準の25万円に増額。首都圏の助手職の現場スタッフが対象で、基本給を20万円から23万円に引き上げ、12時間の残業手当を加える。


