10月1日に育児・介護休業法が完全施行されたことを受けて、各社が両立支援の拡充に動く。手当、休暇、働き方とアイデアは多岐にわたるが、業務を代替する側への配慮も忘れたくない。
第一生命ホールディングス(東京都千代田区)は10月から、長期休業の取りづらさといった心理的負担を軽減するため、新たに「産育介休サポート手当」を導入した。人員補充の有無にかかわらず連続3カ月以上の休職を対象とし、休職者の職位に合わせて支給額の上限を設定した上で、業務を代替・サポートする社員の負担に鑑みて所属長が支給額を決定。例えば部長級の役職者が介護休暇を取得し、社員4人が業務を代替・サポートする場合、全体の支給額を95万円と設定し、業務負荷に応じて40万円、35万円、15万円、5万円などと按分して支給する。

さらに、早期復帰を希望するグループ社員の支援策として、「アーリーカムバック支援プラン」も新設。子が1歳2カ月までにフルタイム勤務で復帰した女性社員に対して、復職月の翌々月から子が満2歳に到達した日の属する月まで、家事代行やシッターの利用など育児関連サービスに使用できる毎月5万円分相当のポイントを付与する。
三井住友銀行(東京都千代田区)は10月に、男性社員の育児休業取得を必須化した。2歳未満の子を持つ男性社員が対象で、子の2歳到達までに約1カ月以上の育児休業取得が原則。男性の育児参画が「当たり前」となることが見込まれる2028年度までの時限措置とする。
また同時に、育児休業をきっかけに欠員が急に発生するなど、チームが困難な状況に直面した際の対応力・克服力、いわゆるチームレジリエンスを強化する。育児休業の取得申出を契機に、一丸となって困難な状況を乗り越えるチームづくりに取り組み、実際に業務を安定的に運営した場合に1人当たり5万円の報奨金を支給。チームレジリエンスの浸透に向けて、サブ担当制の導入や業務内容の見える化などの具体策をガイドブックにまとめるほか、社内研修を通じて重要性を周知徹底する予定にしている。
会計サービスのTKC(栃木県宇都宮市)は10月から、社員の育児休業と介護休業の取得を支援するため、新たに「育休・介護休フォロー手当」を導入した。育児休業や介護休業をはじめ、産前産後休暇、傷病欠勤、休職などで1カ月以上継続して休業する社員の業務を代替する同僚社員に、直後の賞与時に1人当たり一律均等に月額5千円を支給。部門長が賞与考課時に評価とともに対象者を選定するが、欠員補充がなく休業社員が1日から末日まで連続して休業した月に支給を限る。

建築設計・管理事業の久米設計(東京都江東区)は10月1日付けで、「育休等サポート手当」を新設した。育児・介護などを理由に一時的に不在となる社員の業務を代替する社員に対し、1カ月当たり上限10万円の範囲で支給。社員の努力を正当に可視化し、感謝を伝えることでチーム全体で支え合う風土を醸成する。
このほかマーケティング支援のオロ(東京都目黒区)は、産後休業・育児休業から復職する女性正社員を対象にした「早期復職支援手当(キャリフル)」を導入。所定の条件を満たした上で、子が1歳の誕生月までは最大で月30万円、2歳の誕生月までは最大で月10万円を支給している。


