従業員と会社の双方へのアンケート調査に基づく、日本における「働きがいのある会社」ランキングベスト100(2024年版)が2月8日に発表された。調査を実施するGreat Place To Work(GPTW) Japanの荒川陽子代表は、「働きがいを高めるために重要なのは、経営層と従業員との間の信頼関係」と述べた上で「ここ2~3年、特に働きがいのスコアに影響を与えるキーとなっている要素は、性別や立場などに関わらず公平・公正に扱われているかという『公正感』」と指摘する。最新の調査・研究結果とともに、働きがいの動向を探る。
■中小で順位変動大きく 心理的安全性も関連大
「働きがいのある会社」(GPTW)調査は、現在約150カ国、対象従業員数約1800万人、1万社超が参加する世界最大規模の働きがい調査(本部米国)。日本ではリクルートマネジメントソリューションズ子会社のGPTW Japanがライセンスを受け調査を実施している。
社長、役員を含む直接雇用のすべての従業員への「働く人のアンケート」と、経営方針・人事施策責任者への「会社へのアンケート」の双方を実施。評価基準は、リーダーへの「信用」、従業員の「尊重」と「公正」な扱い、仕事への「誇り」と仲間への「連帯感」の主に5つの要素を、選択式・自由記述式設問への回答などをもとに測定し、働きがいを生み出す信頼がどれだけ職場で形成されているかを数値化している。
調査にエントリーした企業653社から、調査結果が一定水準以上の企業を「働きがい認定企業」と認定し、さらに上位企業を規模ごとに計100社選出。ランキング一覧をみると、特に中・小規模部門では順位の変動が大きく、昨年ランク外だったか初めてランク入りする企業が中規模では11企業、小規模では19企業あった。順位が大きく下がる企業も少なくなく、働きがいを高めるためには恒常的な取組みが求められることが窺える。
非認定企業を含めた調査企業全体の動向について荒川さんは、「ここ2~3年、特に『公正感』をキーにして働きがいスコアの動きが表れているのが特徴」と指摘する。
GPTW Japanが12月に発表したレポート結果によれば、組織内で安心して自分の意見を発言できる「心理的安全性」が働きがいに大きく影響しており、心理的安全性に最も関連性が高いのが「公正」要素だった(下表)。調査企業の3年前のスコアと経年比較すると、「公正」要素の高い企業は、心理的安全性とともに働きがい評価全体の上昇幅が大きい傾向も明らかとなった。
「組織内でのコミュニケーション上の課題である心理的安全性に、『公正』要素が最も影響しているのは意外な結果でした。立場や地位、あるいは性別などに関わらず、公平・公正に扱ってもらっているという感覚が心理的安全性、ひいては働きがいの向上につながっていると考えています」
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