「若手人材が安心して働ける環境をつくり採用に繋げるためにも、今いる社員の健康を大事にしたい」――高年齢社員も多く働く茂呂運送(東京都練馬区、従業員数34人)は、2021年以降3年連続で健康経営優良法人の認定を取得。安全衛生委員会も活用して社員の意識醸成に取組み、他の認証取得にも繋げている点が特徴的だ。吉田亜紀社長は「健康は一人ひとりが当事者なので、社員を巻き込みながら進めている」と話す。取組みのポイントを聞いた。
■声掛けからカロリー表示まで 労使協働で社内浸透
創業90年を超える同社は、地元の練馬区を中心に自治体を対象とした運送事業、廃棄物収集運搬や公立図書館の本の運搬などを主力事業とする。近隣地域の運行が主なため、長距離輸送と異なり業務はほぼ定時で終了し残業も少ない。
「働きやすさはあると思います。そのため50代や60代で入社し、長く働き続けてくれる社員も多いなか、健康が大きな課題になりました。また若手の採用に向けても、安心して働ける環境を社内制度としてしっかり整えたいという思いもあります」
2019年頃から健康経営の取組みを始め、21年からは3年連続で経済産業省の「健康経営優良法人」に認定。22年には中小企業部門で上位500社の「ブライト500」にも選ばれた。
「健康診断受診率を100%とするだけでなく、診断後の特定健診・保健指導といったフォローに力を入れています。また対面で行う毎朝の点呼時には、管理者によるアルコールチェックや睡眠時間の記入のほか、顔色は悪くないか、声はかすれていないかなど日常の声掛けを大切にしています」
取組みを継続していくのは簡単なことではないが、同社で特徴的なのは、社内外での連携を通じて持続的な推進に結びつけている点だ。社内での連携としては安全衛生委員会の活用もその一つ。50人以上の事業場で設置を義務付けられており、同社は義務対象ではないが法を上回る取組みとして委員会を設置し、毎月開催している。
「衛生管理者を務めている女性事務社員とは、認定の初回申請時から健康経営の施策を中心となって一緒に進めてもらっています。例えば事務所の自動販売機に飲料ごとのカロリーを表示したり、分煙の徹底のために喫煙スペースを移動したりと、身近なところから社員の意識を変えていく取組みにも繋がっています」
委員会では現場レベルの運行管理者をメンバーとすることで、従業員の意見が計画に反映されやすい仕組みを構築。また産業医や外部の専門家を交え、風通しの良い体制としている。
健康経営の取組みを進め、適切な労務管理や安全面での環境整備にも注力するなかで、同社は22年12月に全日本トラック協会の「安全性優良事業所」(Gマーク)、23年1月には厚生労働省の「安全衛生優良企業」(ホワイトマーク)といった第三者機関の認定を取得している(表)。
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