インフラ人材とはインフラ、すなわち社会基盤のメンテナンスを陰で支える専門の資格や技能をもった技術者のことです。具体的には、保線従事者、電気主任技術者、電気工事士、港湾労働者、自動車整備士、水道技術者、それに空港で働くグランドハンドリング等を指します。
こうした資格は、専門学校や工業高校出身者が取得することが多かったのですが、体力的にもきつい仕事の割には、低賃金で残業が多いので、IT系等の仕事に比べて人気がないことも要因のようです。その結果、すでに鉄道が止まったり遅れたり、水道工事が遅れたりといった社会的な問題が起きはじめています。いわゆる「2030年クライシス」も現実味を帯びてきています。
筆者は1980年代に海外で7年近く過ごした頃、すでにこうした人材不足を経験しました。その頃は日本の方がまだましだったのです。その後、水道が壊れた場合に、「すぐに対処してくれる」人材は希少価値があり、海外ではむしろ価値があがっていますが、日本ではこうした「サービス」の価値を低く見る悪習があり、賃金水準もそれほど伸びていません。
労働市場において需要と供給の関係を正常にすることが必要なのです。インフラ人材の価値をあげると同時に賃金水準をあげることが日本でも求められています。そうならなければインフラ人材の充分な確保は不可能です。