土曜日, 11月 23, 2024
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組織と個人が目標共有、“OKR”活用で 【日本老人福祉財団】人財育成改革(後編)

10職種のキャリアラダーごとに職務を明確に定め、公正な評価を目指す日本老人福祉財団(東京都中央区、従業員数1101人)の人事制度を前編で紹介した。目指すのは、人材の流動性が比較的高い介護福祉業界のなかで、職員の働きがいと定着を高める人財育成に主眼を置いた制度改革だ。上長と職員の対話を促進するため、組織別・個別の目標設定による管理手法OKRを導入した。制度の詳細を井尻隆夫・人事総務部課長に聞く。

人事総務部の(左から)皆川ひとみ主任、井尻隆夫課長、前川規部長

■「利用者さんの名前覚えた?」 普段の会話で目標支援

人材マネジメント手法の一つであるOKRは、組織全体や部署、個人ごとに定性的な目標(Objective)を立てた上で、その達成に必要な成果指標(Key Results)を複数定める。各目標をオープンにすることで、組織と個人が互いに目指す方向性を共有したり、前例に捉われない新しい挑戦を支援したりするための管理手法だ。

グーグルやメルカリなどIT系企業で導入される例が多く、介護福祉事業での導入は比較的珍しい。導入の背景について、井尻課長はこう話す。

「職場の中での会話が活発になされている施設ほど、職員の定着率が高くなる傾向があります。実はある施設で、職員一人ひとりが目標を持つことで会話を促す取組みを実践していたんです。その取組みがとてもよかったので、取り入れようということになりました」

例えば、廊下で職員とすれ違う時に「お疲れ様です」だけで会話を終えるのではなく、上長から「利用者さんの名前覚えられた?」などと個別の目標を軸に会話を生んでいく、そうした機会を増やすことが大事だと、井尻課長はこう続ける。

「OKRを使うのは、『しゃべっていこう』という姿勢の現れです。そのため主任以下の一般職員は人事評価と切り離し、会話が『上からの評価面談』にならない仕組みにしています。一方、マネージャーの側から積極的に声を掛けてもらうために課長以上の管理職はOKRを評価に組み込んでいます。上司はもっと褒める機会を増やしてほしい」

OKR設定の階層図と、実際の部署内での個別目標共有のサンプルを図に示した。組織内でそれぞれの目標をオープンにすることで、各階層ごとや部署内で個々人が何を目指して動いているかが見える化されていることが分かる。目標や成果指標は、3~4カ月に1度OKR面談を通じて確認する。

「一人ひとりの目標に向けた行動が、課や施設、財団全体の目標にもつながっていく、当たり前のことではあるのですが、そうした繋がりの実感を持ちやすくするためでもあります」


■管理職は行動評価 マネジメント担える人に

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