金曜日, 5月 3, 2024
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職務細分化で公正な昇格評価【日本老人福祉財団】人財育成改革(前編)

全国7カ所の介護付き有料老人ホームを運営する日本老人福祉財団(東京都中央区、従業員数1101人)は4月から、10の職種ごとに細かな職務分析で昇格基準を明確化し、評価と処遇の公正性を高める人事制度を導入した。管理職層には行動(コンピテンシー)評価でマネジメント能力向上を促すとともに、個々の職員が目標を設定する管理手法OKRで上長と職員の対話を促進し、人財育成に注力する。人事総務部の井尻隆夫課長に聞いた制度の詳細を、前編で一般職層、後編で管理職層に主に焦点をあてて紹介する。

人事総務部の(左から)皆川ひとみ主任、井尻隆夫課長、前川規部長

■求められる役割を明確に 達成か未達成かで評価

今年創立50年となる同財団は、関東・東海・関西地域に大規模な介護付き有料老人ホーム7施設を運営。自立期に入居し、終身利用・相互扶助型のケアを提供する「高齢者コミュニティ」の創造を目指している。

人事制度改革のきっかけは、全職員を対象にした従業員満足度調査や申告書に寄せられた「給与の制度が分かりづらい」「公正な評価をしてほしい」といった声だ。必要な制度設計を17のワーキングチームに細分化し、1年半かけて導入にこぎつけた。

図にキャリアコースの全体像を示した。ポイントは、「キャリアラダー」と呼ぶ10の職種ごとに40~60程度の詳細な職務項目を定め、昇格・昇進基準を明確化した点だ。キャリアラダーごとに職務を分析するワーキングチームを立ち上げ、各施設の職員と議論を重ねて項目を練り上げた。

同等級区分内では定期昇給とし、等級区分が上がるほど昇給係数を上げ、給与の上り幅が高くなるようにした。一方、同等級区分の滞留年数が長いほど、昇給が抑えられる仕組みになっている。

「一定期間同じ等級にいる人は、役割をクリアして次の等級区分を目指し頑張ってもらうための仕組みです」(井尻課長)

評価は本人と上長の相互評価で、職務項目ごとに求められる役割が達成できているか否かのチェックリスト方式とした。5段階の評定尺度方式に比べ、より明確な評価が可能と言われている。

S(スタッフ)等級は求められる役割に応じて3つに区分。それぞれの職務項目について、「S1」は教えられたらできるレベル、「S2」は指導できるレベル、「S3」は指揮や改善提案ができるレベルで達成・未達を評価。全項目の85%以上を達成した場合に、次の区分に昇格する。S1からS3までの標準在勤年数は、それぞれ3年を目安としている。

S3区分から先は、主任としてM(マネージャー)等級に昇進するか、新設したSP(スペシャリスト)等級に進むかをそれぞれが選択できる。

「必ずしも全員がマネージャー職を希望しているわけではない。医師や看護師など直接雇用の専門医療スタッフや、また例えば調理栄養スタッフとして『現場でフライパンを使うのが好き』といった声もあります。自らの知識や技術をより高めて現場に貢献してもらうためにスペシャリストコースを新設し、給与も主任と同等レベルまで上がる設計にしています」

■項目ごとに随時確認 双方の課題見える化

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