金曜日, 12月 5, 2025
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出張講義が採用の入り口に 職員と入居者で伝える働きがい 日本老人福祉財団🈝

採用競争が激化するなか、就活生や求職者に深い関心を持ってもらうために何が求められるのか。「求人情報サイトだけに頼るよりも、大学での出張講義など自分たちから動く活動に手応えを感じています」と話すのは、日本老人福祉財団(東京都中央区、従業員数1158人)が運営する介護付き有料老人ホーム「大阪〈ゆうゆうの里〉」の井尻隆夫施設長だ。福祉職場のやりがいを伝えるには、介護福祉士や看護師、営業や施設営繕担当など多様な職員が入居者と協力してリアルな現場を伝えることが重要という。取組みの詳細を尋ねた。

井尻隆夫・大阪〈ゆうゆうの里〉施設長【左】と阪井賀代子・京都〈ゆうゆうの里〉採用担当者

■“楽しさ”伝えて

「大学の講義で関心を持ってインターンシップに参加し、入職につながるケースも多い。職場を体験する機会をいかにつくるかは重要です。講義でもインターンでも、ポイントは現場の職員やご入居者と直接話をする機会をつくること」

こう話す井尻さんの指摘からは、求職者にとって将来の同僚や先輩、サービスを提供する顧客となる入居者との関わり合いが、職場体験の重要な要素であることが分かる。

京都〈ゆうゆうの里〉で採用に携わる阪井賀代子さんは、ある関西圏の介護福祉士養成課程の大学教授から「介護の“楽しさ”は授業で伝えることが難しい。現場での仕事のやりがいを伝えてほしい」と依頼を受けた。出張講義では、職員から介護を受ける入居者の話を生中継で伝えるなど、現場職員と入居者が協力した授業を展開している。

図1は、公認心理士の養成課程のある大学の教授から、「心理学の学びを将来どう活かせるのか」との依頼を受けて行った出張講義の概要だ。


同財団では、介護が必要になる前の自立期に入居し、要支援・介護期、終末期を通じて一貫したケアの提供が特徴だ。講義でも必要なケアの移りかわりに応じ、多様な職種の職員が登壇する。

日本老人福祉財団が運営する〈ゆうゆうの里〉における多職種連携を表す概念図(資料提供:日本老人福祉財団)

「実際に関わった各担当が講師となり、多職種連携の重要性を実感できる構成を目指しました。奥様(入居者)の『ありがたかったわ~』の言葉に始まり、各担当からの感謝の気持ちも伝えることで“たくさんの『ありがとう』にありがとう。”の採用キャッチコピーに定めた情景が、現場に溢れていることを実感してもらえたら」(阪井さん)

受講後の学生の感想では、「介護期の支援の質は、心理学の知識の有無で違いが出るのでは」「心理職の配置がなくても、心理学の知識を活かせる職場」などの声があった。

こうした講義をきっかけに、施設見学を経て入職に繋がるケースも多いと指摘した上で、「インターンシップの学生を引率していても、入居者が『よく来たね!』と気軽に声をかけてくれる。介護業界の人手不足感を職員以上に懸念してくれている入居者も多く、こうした職員と入居者との関係を実感できることが、求職者の仕事への不安の払しょくにも繋がっているのでは」と話す。

■全正職員と面談

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