金曜日, 12月 5, 2025
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執行役員の管理監督者性 日本硝子産業事件②(令和7・7・2東京高裁判決)

■労務管理上の権限ない 早朝出勤の時間も労働時間と認定

執行役員の管理監督者性を原審が肯定したのは前号の通りです。労働者が控訴した本判決は経営者と一体的な立場たる管理監督者としての「権限」についてさらに踏み込み、労務管理上の重要な役割を与えられておらず、部門全体の統括者とは評価できないと管理監督者性を否定しています。

■事件の概要

本件は、休職期間満了により退職扱いとされた執行役員が、未払い残業代および地位確認等を求めて提訴した事案です。原審はすべての請求を棄却し、これを不服とした原告が控訴。地位確認請求を棄却して、管理監督者の判断が改められたのが本判決です。

控訴人は転職支援会社の紹介を通じ、令和2年10月、執行役員・医薬品担当部長として工場の品質部門に雇用されています。会社の職制規程上、執行役員は「社長等から委任された職務を担当する取締役等の命を受け、所管部門の業務執行方針を樹立し、所属管理者等を指揮して所管業務を執行する」と定められており、原審はこの規程を踏まえ「経営者と一体的な立場」とは、経営者の分身として少なくとも一部門全体を統括する地位を意味し、控訴人を部門全体の統括的立場にあったと評価していました。

一方、控訴人が令和3年5月まで所属していた品質保証部門には約10名の従業員が在籍しており、その中には同じく執行役員のD(品質保証部長・品質管理責任者)、およびE(品質保証室長)、F(医薬品製造管理者)らが含まれていました。

控訴人はEやFを指揮し、GMP(医薬品や化粧品等の製造・品質管理基準)に基づき、製造記録の照査、報告書の承認、出荷判定業務などを行っていましたが、役員会の構成員ではなく、課長クラス以下も出席する品質会議や管理者会議に参加していたにとどまっていました。


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