金曜日, 12月 5, 2025
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安全へのモチベーションを高める方法 秋保亮太・帝塚山学院大准教授

一つのミスが人命に関わる労働災害につながることもある産業の現場で、職場のメンバーの不安全な行動を防ぐために、リーダーにはどのような働きかけが求められるのか。帝塚山学院大学の秋保亮太准教授(社会心理学)は、「メンバーの安全へのモチベーションを高めることが重要。そのためには叱るよりも、支援(サーバント)するリーダーシップが効果的」と述べる。9月に大阪で開かれた第84回全国産業安全衛生大会(中央労働災害防止協会主催)で発表された研究内容を紹介する。

全国産業安全衛生大会で講演する秋保亮太・帝塚山学院大学准教授(9月11日、大阪市内で)

■ヒューマンエラーを防ぐ働きかけとは

モチベーションの観点から、安全行動を促すリーダーシップの研究を進めた背景を、秋保准教授は以下のように説明する。

 「JR福知山線脱線事故やチェルノブイリ原発事故など過去の重大事故を振り返っても、ヒューマンエラーが最終的なトリガーになっている例は多い。一方で、安全の現場は規則や手続きの厳守がルーチンワーク化されているために、モチベーションが上がりにくい課題があります。ヒューマンエラーを防ぐためには、メンバーの安全行動へのモチベーションを高めることが求められ、リーダーがどのように働きかけるかがポイントです」

メンバーに対するリーダーの働きかけを、秋保准教授は3つの種類に分類。すなわち、①危なっかしい行動や不適切な行動をとったときに注意や指摘、叱るなどの「伝える」行動、②逆に安全な行動や適切な行動をしたときに褒めるなどの「認める」行動、③メンバーの仕事がやりやすくなるよう手伝ったり、主体的に動けるようにバックアップするなど「支援する」行動――の3つだ。

その上で、看護師・看護助手計415人が勤務する総合病院、ドライバー・作業員計299人が勤務する運送会社の2つの職場を対象として、リーダーの3種類の働きかけの違いによるメンバーの安全へのモチベーションの増減と、実際の安全行動への関係性をアンケート調査で調べた。

講演を聴く大会参加者ら

■安全行動の主体はリーダーではなくメンバー

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