■社会保険適用拡大 企業が対応すべきツボ 最終回
日常的に社会保険(健康保険・厚生年金保険)の手続きをする中で、一般被保険者と特定適用事業所に勤務する短時間労働者の違いがある点を確認します。
■被保険者区分の管理
1 被保険者区分
日本年金機構では、社会保険の被保険者を、一般被保険者と短時間労働者の2つの区分で管理しています。具体的には、社会保険に加入する従業員が短時間労働者であるときに、加入時の手続き書類である資格取得届の備考欄「3.短時間労働者の取得(特定適用事業所等)」を丸で囲むことにより判断しています。
2 区分変更の届出
社会保険に加入した後で、正社員がパートタイマーに変わったり、パートタイマーの労働時間が長くなったりすることで、一般被保険者と短時間労働者の区分が変わることもあります。その際には、「被保険者区分変更届」を届け出る必要があります。区分が変わることに伴い、次に解説する定時決定や随時改定の支払基礎日数の扱いが変わります。
■定時決定・随時改定における違い
1 標準報酬月額の決定・改定
社会保険料の額や、健康保険の一部の給付額、将来の年金額の計算には、被保険者に支給される給与の額に基づき決定される「標準報酬月額」が用いられます。この標準報酬月額の決定方法は、大きく分けて表1の3つがあります。
2 支払基礎日数の違い
定時決定および随時改定で標準報酬月額を決定するときは、各月に支給された給与の額とともに、その給与の支払い対象となった日数である「支払基礎日数」も次の通り確認します。
①定時決定
4月~6月の支払基礎日数が17日以上の月に支給された給与の総額を、総額に含めた月数で平均した額により標準報酬月額を決定します。4月~6月に支払基礎日数が17日以上の月が1カ月のみのときは、その月のみで決定します。短時間労働者は、この支払基礎日数が11日以上となります。
さらに、一般被保険者のうち正社員より短い時間で勤務する被保険者を「短時間就労者」と区別し、4月~6月のうち支払基礎日数がいずれも17日未満の場合に限り、4月~6月のうち支払基礎日数が15日以上17日未満の月の給与の総額を、総額に含めた月数で平均した額により標準報酬月額を決定します。
②随時改定
随時改定では、変動した月から継続した3カ月の各月の支払基礎日数がすべて17日以上であることが、条件となります。支払基礎日数が17日未満の月が1カ月でもあるときは、随時改定の対象になりません。なお、定時決定のような短時間就労者の取扱いは設けられていません。
定時決定と同じく、短時間労働者の支払基礎日数は11日以上となります。
①および②の支払基礎日数の関係をまとめると表2のようになります。
■定期的な確認が不可欠
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