金曜日, 12月 5, 2025

年金制度の全体像をみる(小川伊知郎)

■年金数理人が解説 基礎から読み解く年金制度改革法①

小川 伊知郎(おがわ いちろう)
東北大学理学部卒。2016年4月第一生命保険㈱支配人、18年4月㈱第一生命経済研究所研究理事。同年5月~22年6月(公社)日本年金数理人会理事長。25年退職。現在、同会会員として年金数理人の業務に携わる。年金制度の基礎から理解を深める解説に定評がある。

去る2025年6月13日に年金制度改革法が成立しました。年金制度は未来永劫継続する制度であり、年金を受給する者、掛金を拠出する者は、その時どきの人員構成によって変わり続け、また経済情勢も刻々と変化します。このため国勢調査のサイクルに合わせて、5年に一度運営がうまくいっているかをチェックしています。これが「財政検証」です。この結果を受けて、必要に応じて法律を改正し、制度を一部見直します。

わが国の年金制度は諸外国に比べても複雑で難しく、財政検証や法律改正について、マスコミなどで頻繁に取り上げられている時期が過ぎると、よくわからなくなってしまうという方もおられると思います。本連載では、端境期の今のうちに基礎的なことから順次知識を深めて、4年後に予定されている財政検証を少しでもよく理解して頂くために、アクチュアリー・年金数理人を中心とした筆者のキャリアを生かして、なるべく分かりやすく解説していきます。

■年金制度の概要

わが国の年金制度は、厚生労働省がまとめている下図の通り3階建てです。


年金制度はさまざまな切り口で分類されますが、主なものは「公的年金と私的年金」「企業型と個人型」です。公的年金は1階部分の「国民年金(基礎年金)」と2階部分の「厚生年金保険」のみで、他は全て私的年金です。私的年金のうち主なものは、「確定拠出年金(企業型)」「確定給付企業年金」「iDeCo」です。

私的年金は掛金を誰が負担するかによって分かれます。企業が負担する企業型のメインは「確定拠出年金(企業型)」「確定給付企業年金」です。対象者は、企業に勤務している会社員のみで、自営業者や公務員などは対象外です。他方、加入者自身が負担する個人型の代表格は「iDeCo」です。これは01年10月の創設以来、対象者が順次拡大され、会社員、自営業者、公務員などに加え、国民年金に加入していれば、専業主婦・主夫、独身者、フリーランス、学生も加入できます。

別の切り口として「給付建てと掛金建て」、「賦課方式と積立方式」がありますが、これらは必要に応じて触れることとします。

■公的年金の種類

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン

14 − 12 =

   

「労基旬報」メールマガジン

*厳選されたニュースで労働行政の動きをチェック
*人事・労務の実務テーマで記事ピックアップ
*先進企業事例と業界トレンドの今が分かる
*注目の裁判やイベント情報なども随時掲載
(月3回配信、無料)

「労基旬報」紙面のご案内

*月3回、実務に必須の最新情報を厳選した紙面が届く
*法改正から判例、賃金動向までポイント解説
*第一線の専門家によるトレンド解説や先進企業事例
*職場でのよくある疑問にも丁寧に回答
*電子版・オンライン版でオフィス外でも閲覧可能

購読者Web会員登録

「労基旬報」本紙ご購読者の方は、こちらからご登録ください。

人気記事