金曜日, 12月 5, 2025

育休取得のリアルを知る(柳成美 人事図書館運営スタッフ)

■人事図書館発・人事労務キャリアの先を読む⑮

柳成美(やなぎ・なるみ)
人事図書館運営スタッフ
▶人事アセスメントツールを提供する事業者での営業職を経て、インターネット企業の人事労務担当を4年経験。2025年7月より人事図書館の運営にフルタイムで携わる。

人事図書館
▶人事領域の図書館であり、同時にコワーキングスペース利用、相談も可能な東京・人形町にある施設。2024年4月1日から運営を開始し、日々様々な勉強会、セミナー、読書会などが行われている。

産休・育休制度は整備が進み、取得率も年々上がっています。一方で1つひとつの現場を見ると、職場復帰やその後の働き方には今もなお課題が多いと感じる方が多いのではないでしょうか?

私自身は産育休を取得する予定のない立場ですが、人事担当として、また同じチームの同僚として、産育休や時短勤務のメンバーと向き合う機会がありました。その中で痛感したことは、取得する側と対応する側の双方に、声にしづらい苦悩があるということです。

■キャリアの橋を渡す

『「育休世代」のジレンマ―女性活用はなぜ失敗するのか?』中野円佳 著、光文社/2014年

『育休世代のジレンマ』は、著者が当事者や研究者として見てきた「キャリア形成と育児の両立の壁」を描いた一冊です。復帰後に責任範囲が縮小されたり、評価が下がったり、周囲の無理解に直面する事例が生々しく記されています。読み進める中で、10年前の出来事とは思えないほど、今も同じ声が聞こえてくることに驚かされます。

私自身の経験でも、育休から復帰した社員と何度も対話を重ねたものの、最終的に折り合いがつかなかったケースがありました。当時は、本人の希望をできるだけ引き出すことが最善だと考えていました。今ふりかえれば、まず会社としてのスタンスを明確にし、その上で希望に向き合うほうが、お互いにとって納得感のある着地点を見つけられたのではないかと思います。

一方で当時戸惑いの多かった私に、この本の中のリアルな声は、大きな想像力を与えてくれました。

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