■ 働く人を訪ねて OFFICE HOUR 第2回
自身が考えた解決方法を提案したいという「社労士としての自我が芽生えてきた」と、勝負服のオーダースーツを身にまとい、当時の思いを語る永田幸江さん。2つの社労士事務所を経て、2005年4月に開業した。「ロームは一日にして成らず」が口癖の永田さんに、舞い込む相談内容や今後の目標、社労士法改正の展望などについて聞いた。

――最近多い相談内容はどのようなものですか。
顧問先の課長が、自分には時間がないのに職員がダラダラ仕事をしていると。それできつく当たってしまい、その職員から、課長からハラスメントを受けているという話がありました。行為は許されませんが、話を丁寧に聞いていくと、実は課長が介護を抱えていて、育児をしている人以上に時間が限られている人もいるという違う課題が出てきました。
行為者に対して研修に加え、カウンセリングや改善プログラムを提供しており、効果は出ています。課長は反省していましたが、ひとたび介護の状況が悪化したら同じことが起きるかもしれません。発端はハラスメントですが、根底にある介護を抱えている職員が仕事とのバランスが取れない問題に向き合わない限り、根本からの解決にはいたらないことを助言しました。
今年の育児・介護休業法の改正を受けて、介護離職防止のための雇用環境整備などについて事業主の義務が強化されました。義務だから最低限度実施するという消極的な姿勢ではなく、積極的に介入する方法として周知用ツールの作成や相談窓口設置などを提案しました。その際に、職員の仕事と介護の両立の問題に早めに介入できる体制整備が遠回りに見えて、長い目で見れば組織を強くする近道であることを説明しました。
また、アカデミックハラスメントの相談が多く、大学教授が助教などの教員や院生などの学生に対して強く指導をするといった教育現場特有のハラスメントがものすごくあります。キャリアパスが民間企業以上に見えません。だから、アカハラは起きやすいんです。優秀な研究者が潰されてはいけないので、解明していく必要があります。
――働く中での失敗談と得た教訓はありますか。
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