採用充足率とは、企業が計画した採用数に対して実際に確保できた人数の割合のことです。最近の新規学卒者採用の調査(中小企業団体中央会・令和5年)では、大卒で7割程度(72.2%)、高卒で5割超(54.9%)で、平成20年当時(それぞれ83.6%、81.1%)と比べて、充足率が低下していることがうかがえます。 とりわけ事務系よりも技術系の充足率が低下しています。
今後、充足率の向上へとシフトするには、以下の6つの手法を試すことをお勧めします。
1.ターゲット層の明確化-まず、自社が求める人材像を明確にし、それに適した採用チャネルを選定します。例えば、即戦力を求める場合は転職サイトやヘッドハンティングを活用し、新卒採用なら大学のキャリアセンターとも連携しましょう。
2.採用チャネルの多様化-従来の求人広告や転職サイトだけでなく、SNS(Linked In、X、Facebookなど)やリファラル採用(社員紹介制度)、ダイレクトリクルーティングなど、多様な手法を活用することで母集団を拡大することができます。特にリファラル採用は、既存社員のネットワークを活用できるため、マッチ度の高い人材を確保しやすいでしょう。
3.選考プロセスの短縮・最適化-長すぎる選考プロセスは、優秀な候補者を他社に奪われる要因となりえます。書類選考から面接までの期間を短縮し、オンライン面接を導入するなど、迅速な対応を心がけましょう。また、応募者への適性検査や課題の負担を減らし、離脱を防ぐことも必要でしょう。
4.魅力的な雇用条件の提示-以前のメルマガ(赤津雅彦の「働き方改革」キーワード)でも、解説しましたように、御社に応募するきっかけになるように、御社の魅力を発信することも効果があります。給与や福利厚生、働き方(リモートワーク可否、フレックスタイム制など)を市場と比較し、競争力のある条件を提示することです。また、キャリアパスや成長機会を明示することで、長期的に働きたいと感じさせることが充足率向上につながります。
5. 企業ブランディングの強化-中長期的に自社の魅力を伝えるためには、採用ページの充実、社員インタビューの公開、SNSでの情報発信などで企業文化や働きやすさを積極的に発信し続けることで、応募者の関心を引き、志望度を高められます。
最後に、6. 内定者フォローの強化-内定辞退を防ぐためには、内定者との定期的に、内定者向けの懇親会を実施し、メンター制度を導入することで、不安を払拭し、入社意欲を高めることができます。
そして、これらの6つの施策を組み合わせることで、採用充足率を向上させ、御社の成長につなげることができるのです。一度お試しあれ。

賃金システム研究所🄬所長 賃金改革のプロ・プラチナ企業育成のマイスター🄬
主な著書:「新訂2版 賃金システム再構築マニュアル」、
「赤津雅彦の賃金改革キーワード」、
「伸びる組織のための人事・賃金基礎講座」等
(注)「プラチナ企業育成マイスター」は登録商標です。