
国の暫定目標値を超える濃度の有機フッ素化合物「PFAS」が水道水源地から3年近く前から検出されていたことが2023年7月に明らかになった岐阜県各務原市。県立各務原西高校の養護教諭小川麻実さん(51)は校内の水道に浄水器を設置したことを8月25日の「ほけんだより」で生徒たちに知らせた。(井澤宏明)
同市内の県立岐阜各務野高校でも、各務原西高と同じように生徒たちにしっかり伝えるべきだと教師仲間が働きかけると、同校の校長から小川さんの元に電話がかかってきた。
「この『ほけんだより』はお前の判断で勝手に配ったんか」。校長は小川さんの高校時代の体育教師、そんな気安さもあったのかもしれない。
自身で勝手に発行できるわけもなく、ちゃんと校長の許可を得たと答えたが、なぜこのように責められるのか。どうも、浄水器設置の際、「PFASのことはあおらないように」と県から各校に伝えられていたらしい。
こんなこともあった。校内のウォータークーラーには浄水器が付けられていないため「使用禁止」と赤字で大きく書いた張り紙をしていた。ところが、マスコミが浄水器設置の取材に来ることになると、県教育委員会から「他校と表示を統一するよう」お達しがあった。
■「隠ぺいでは」と喧嘩
赤字もダメだというが枚数制限はない。「このウォータークーラーには浄水器はついていません」。大きな文字で書いた紙をベタベタと貼った。せめてもの抵抗だった。「いったい何を守ろうとしてそういう(指示をする)発想になるのか、気持ち悪かった」。
水質検査直前に浄水器のカートリッジを取り換えるよう指示されたことも。「隠ぺいじゃないですか」。保健室に生徒が寝ていることも忘れて、事務方と喧嘩になった。
学校の外では、京都大学大学院医学研究科の原田浩二准教授(環境衛生学)を招いて講演会を行おうと市民団体「環境・未来・各務原―PFAS汚染と市政を明らかにする会―」を結成。9月30日に実現した。
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