従業員と会社の双方へのアンケート調査に基づく、日本における「働きがいのある会社」ランキングベスト100(2025年版)がこのほど発表された(表1)。調査を実施するGreat Place To Work Institute Japan(GPTW Japan)の荒川陽子代表は、従業員から見た経営・管理者層とのコミュニケーション面の調査値が改善している点を指摘した上で、「特に日常的な1on1面談の『質を変える』ことに取り組む企業の動きが注目される」と指摘する。最新の調査結果とともに、働きがいの動向を探る。
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■明確な期待、話しやすさ… 従業員と経営層のコミュニケーションに変化
「働きがいのある会社」(GPTW)調査は、現在約150カ国、1万社超が参加する世界最大規模の働きがい調査だ。調査項目や評価基準は各国共通で、日本ではリクルートマネジメントソリューションズ子会社のGPTW Japanがライセンスを受け調査を実施している。
調査は、社長や役員を含む直接雇用の従業員が無記名で回答する「働く人へのアンケート」で、働きがいの5要素を測定する。すなわち従業員と経営層との間の信頼を構成する「信用」「尊重」「公正」、そして仕事への「誇り」とチームへの「連帯感」――の5つだ。
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5要素に基づく60の選択式設問、2つの自由記述式設問などに加えて、経営方針・人事施策の責任者への「会社へのアンケート」を行い、働きがいがどれだけ職場で形成されているかを数値化している。
今年のランキングをみると、特に中・小規模部門では順位の変動が大きく、職場環境や人事施策の変化が順位に如実に反映される特徴が窺える。一方、平均の働きがいスコアでは、100点満点で前年比プラス2㌽以上の改善傾向の企業が34.0%、マイナス2㌽以下の低下傾向の企業が27.3%と、改善傾向の企業が6・7㌽上回った。
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さらに前年比で平均点の増加幅(得点差)の大きい設問(表2)をみると、報酬の改善のほか、特に従業員にとって経営・管理者層の期待は明確か、話しかけやすいか、仕事の割り当てや配置は適切か、といったコミュニケーション面の設問での改善が目立っている。
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この点について荒川代表は、「経営・管理者層の側から、従業員と積極的にコミュニケーションをとることに力を入れる企業が増えています。具体的には、上司と部下の1on1面談の『質を変える』取組みがその一例です」
■聴くだけで終わらせず 「期待に応える」相互関係
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