仕事への熱意や意欲、職場への貢献意欲を持つ人の割合を表す従業員エンゲージメントの国際比較で、日本は6%と前年より1㌽上昇したものの、国際平均の23%を大きく下回り最低水準だったことが、米国の調査会社ギャラップがこのほど発表した「グローバル職場環境調査2024」で分かった。
■東アジアでの格差、7年間で拡大
調査は2005年以降毎年行っており、今回は140を超える国や地域に住む15歳以上の男女約12万8000人を対象に、対面もしくは電話で実施。エンゲージメントの評価基準は、期待される仕事内容の明確性や適性、設備環境、人間関係や周囲の支援、意見の尊重など12の質問項目に対する5段階の回答を、独自の計算式で測定した。
主だった国のエンゲージメント指数は下図の通り。米国(33%)やブラジル(31%)などに比べ、ドイツ(15%)や英国(10%)など欧州の主要国では相対的に低く、スウェーデン(23%)やデンマーク(21%)など北欧諸国は国際平均に近い数値となっている。
東アジアではモンゴルが41%ととびぬけて高いが、中国(19%)や韓国(13%)など平均より低めの国が多い。世界最低値は日本の6%で、エジプトと香港でも同じ数値だった。
2012年以降の経年変化をみると、東アジア地域の平均値も国際平均に沿って上昇しているが、日本はほぼ横ばいとなっている(下図)。
■労働時間法令はストレス軽減と相関
調査は、労働者の権利に関する法律が充実している国では、従業員エンゲージメントや精神的健康度も相対的に高いと分析。一方、労働関係法令とエンゲージメントは単純な相関関係ではなく、労働者保護のレベルが同程度の国でも、従業員エンゲージメントが大きく異なることを指摘した。
また調査は従業員のストレスや幸福感、孤独感などと労働関連法令の整備の度合いとの相関関係も調べており、法律が規定する内容ごとに影響の違いを指摘している。例えば、公正な賃金や労働安全、家族への責任や出産に関連した法律は、孤独感の軽減と相関があり、また労働安全や家族への責任、労働時間に関連する法律は、ストレス軽減と相関があると分析している。