■人材交流・ネット環境に熱視線
物価高も手伝い、住居にまつわる福利厚生へのニーズが高まっている。
企業年金導入サポートのベター・プレイスの福利厚生制度に関する調査によると、導入・注力してほしい福利厚生は「社宅・住宅手当・家賃補助」が従業員規模300人以上で54.7%、300人未満規模で49.6%を占めてともに最多。
法人向け不動産サービスを提供するスターツコーポレートサービスの調査でも、自分が新入社員に戻った場合に一番重要と思う福利厚生を問うと、783人のうち468人が「寮・社宅、住宅手当などの家賃補助」と回答するなど最も多くなっている。
社員寮・社宅の自社保有数は減少傾向を辿っているが、ハードルが高い新築・改築にあえて乗り出す動きも散見される。
マツダ(広島県府中町)は、広島地区に所在する技能系従業員向けの5つの社員寮を統合し、新たな寮を建設する。築50年以上が経過しており、住環境の改善で従業員満足度を向上させ、人材確保にも繋げる狙い。工事は2024年10月から開始し、27年4月の新寮の運用となる見込みだ。
新寮では各個室の居住空間や設備の充実を図るとともに、入寮者の交流の場となるラウンジ、トレーニングルームなども設置するなど、快適で充実した寮生活を実現。また地域貢献として、独立した建物となる食堂棟を一般開放する予定で、寮生が参加する地域の祭りの際には食堂棟や周辺の広場も活用してもらう。
大同特殊鋼(愛知県名古屋市)は、群馬県の渋川工場の2つの独身寮を老朽化のために建て替えて、新たに1つの独身寮に集約する。24年11月末に竣工予定で、総建設費用約11億円かけて快適な居住環境に加え、多目的室や談話コーナーを整備するなど寮内の人材交流を活性化。今年2月には愛知県東海市の従業員寮の建て替えも完了しており、今後も人への投資をより一層強化する。
温泉宿経営の古屋旅館(静岡県熱海市)は自社ビルの改装で、新たに2カ所の社員寮を開設。家具や家電を備え付けたスタイリッシュな室内が特徴で、働きやすい環境づくりを従業員満足度向上や新卒採用強化、離職率低下に波及させる。
社員寮を展開する共立メンテナンス(東京都千代田区)によると、駅に近いといった好立地での大型シェアハウス事業に力を入れている。個室空間の充実はもちろん、ラウンジやワークスペースなど共有スペースを充実させ、交流が図れると入居者からの評判も高い。
大和ライフネクストが25年卒400人に行った調査で、企業選びで重視することは「福利厚生」が44.3%で最も多く、うち「住宅(社宅、住宅手当)」は3番目に多い。
社員寮への入居意向は、「入りたい」「入りたくない」が50.0%ずつで拮抗。ただしインターネットが無料で利用可能だと、85.0%まで高まるとのこと。ご参考まで。