生活雑貨販売のハンズ(東京都新宿区、従業員数1947人)は、子が小学6年生までの勤務地限定制度や時短勤務をはじめ、育児や介護など従業員のライフイベントに応じた多様な働き方に力を入れてきた。「生活文化の創造をお手伝いする会社として、まず従業員が生活や健康を大事にし、やりがいを持って働ける環境をつくりたい」と人事部人事業務グループの小沼由希グループマネージャーは話す。今年「健康経営優良法人ホワイト500」の認定を受けた同社に、ワークエンゲージメント向上の取組みを尋ねた。
■キャリア継続してこそ 育児で転勤免除、小6まで
育児や介護などに対応できる多様な働き方の制度づくりに、同社は以前から力を入れてきた(図1)。
子の看護休暇・介護休暇については、半日取得から時間単位取得へと段階的に使いやすくしたほか、育児時短・看護休暇は小学6年生までへ法を上回り要件拡大。始業・終業時間が変化するシフト制の社員も多いため、健康確保のために勤務間インターバル制度を2020年の段階で導入している。
「育児や介護を理由にキャリアを止めてしまうのは、本人も会社もお互いにもったいない。お店に行けば新しいモノや発見があり、悩みを解決できる――そうした価値を提供するためにも、長く働いてキャリアを継続することが必要です」と小沼さんは強調する。平均勤続年数は、18年度の20.9年から23年度には23.4年(男性26.3年、女性18.9年)に増加している。
キャリア継続の観点で重要な役割を果たしている施策の一つが、21年に導入した「ワークライフバランスコース制度」だ。多様なスキルや経験を身につける観点から、同社は2~3年ごとに店舗やフロア、部門、部署間でのジョブローテーションを行っているが、育児や介護など転居を伴う異動が難しい事由がある場合、同コースを活用すれば一定期間転勤が免除される。育児の場合には、子が小学6年生までと長期にわたって免除される点が特徴だ。
ワークライフバランスを大切にすることが従業員の働きがいに繋がる点について、健康経営の戦略のなかにも位置づけている。図2と3に、健康経営宣言と戦略マップの抜粋を示した。戦略マップでは、3つの目標指標の一つである「ワークエンゲージメント」を高める要素として、ライフイベントに沿った勤務地や時間単位年休が位置づけられている。
人事部人事業務グループの椎葉民生さんは、「離職せず明るく働いてもらうことは、従業員と会社のお互いにとってウィンウィン。それを目指して続けてきた人事施策を、健康経営の戦略マップに落とした形です。『生活文化の創造のお手伝い』という企業理念の基にあるのは『人』だと考えています」
■50人未満店舗でも安全衛生委員会 ストレス検査は97%
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