60年前の池田内閣の時に職務給への強い指向を打ち出していたという。そして、事あるごとに顔を出しては消える。その背景には副題になっている所属給の呪縛がある。
「歴史的パースペクティブを持って初めて、地に足のついた議論を展開することができる」と著者は、「職務給」に関わる日経連や組合、国の発言を追う。
読んでいるうちに見えてくるのは職務給導入を唱道しながら、年功序列賃金を守ろう、守らざるを得ないという力学だ。一方で、同一労働同一賃金関連での職務評価分析では、職務給の推奨がなされているなど60年目にして変化も見える。
他にもベースアップの誕生も。賃金の歴史書として労務管理者必携の一冊。