
忌まわしい事件の記憶が蘇る。本書が取り上げる数々の重大事件も、時代を映す鏡と言えるのだろう。記者生活30年を越えて、警視庁・大阪府警・警察庁などで事件取材を担当した著者ならではの事件捜査のリアルな裏側を紹介する。
科学捜査の高度化は目覚ましく、防犯カメラのリレー捜査や、DNA鑑定の個人識別の分母は、約25年で4桁から565京へ向上した。一方、取り調べへの過度な偏重や依存による冤罪事件、世代交代に伴う能力の低下という難問も飛び出す。
狂暴化する特殊詐欺など難事件への対応に期待を込め、警察内部の隠蔽体質と内部告発・情報漏洩問題など、組織の正義と公正にも期待したい。