日曜日, 9月 8, 2024
ホームニュース一覧ニュース公平な「評価」へ基準明確化...

公平な「評価」へ基準明確化 職務・行動・役割に基づいて処遇

2024年度の人事制度改正をみていくと、キャリアやジョブ型といったキーワードが浮かんできたが、「評価」をめぐる独自の工夫も目立つ。

スズキ(静岡県浜松市)は今年度の人事制度の全面刷新で、評価制度を見直した。挑戦できる環境の醸成に向けて、業績と職務能力の向上を別々に評価し、短期の業績は賞与、職務能力は昇給・昇格に反映。能力評価の項目を明示することで、上司と部下の相互コミュニケーションを通じた職務能力改善にも注力する。


制度そのものは、各職系・階層ごとの役割と職務遂行に必要な能力要件を明確化した、いわゆる職能資格制度へと移行する。各本部の職務で必要となる知識・スキル・ノウハウ・経験を明示し、職務能力の増強に活用。さらに給与についても、職務と職能に基づいた給与体系へと改めた。


ITサービスのクオリカ(東京都新宿区)は4月の人事制度改正で、基本理念に基づくコンピテンシー評価を導入した。期待される行動を具体化し、行動変容を促進して成果に繋げる狙い。従前の成果重視の評価は、上位グレードほど業績評価の割合が高くなっていたため、年1回の総合評価によるコンピテンシー評価の割合を全グレード共通で50%に揃える。


このほか高年齢社員の活躍と多様なライフプランに対応するため、選択式定年制度を導入。60歳・63歳・65歳の定年年齢を選べるようにするとともに、多様なキャリアプラン設計を支援するセカンドキャリア支援制度も改定している。

クレジット事業のジャックス(東京都渋谷区)は4月から、働きがいやエンゲージメントの向上を図るため人事制度を改正した。国内外の転居を伴う勤務地変更の有無にに基づく職掌区分「グローバル職」「リージョナル職」を廃止した上で、役割に基づいた均一な評価基準と処遇を整備。職掌区分の廃止で公平性がより一層高まることで、賃金は最大で11%程度増加する見込みだ。

また家族を含めたワークライフバランスを尊重するため、従業員自身が希望する居住地を定める「ホームタウン制度」を導入。さらに転居を伴う勤務地変更の可否についても選択可能とする一方で、ホームタウンを離れて勤務する従業員に年額一律60万円を支給する転勤手当も新設した。

計装システム設計を手がけるケイテックプランニング(茨城県ひたちなか市)は、可能な限り賃金を引き上げて生活を安定させることを目的に評価賃金制度を刷新。「茨城県一の手当が厚い会社」を目指し、賃上げ以上の手当を支給することで年収200万円以上のアップを可能にしている。


基本給に組み込む役割行動給は主体的・積極的な47の行動で、課業習熟給は社内業務の難易度に応じて評価を決定するなど、評価基準を透明化しているのが制度の特徴。家族手当や住宅手当などに加えて、役職手当として月額最大8.8万円、秘密保持手当として月額最大1万円、営業手当として月額最大3千円などを支給する。

「労基旬報」メールマガジン

*厳選されたニュースで労働行政の動きをチェック
*人事・労務の実務テーマで記事ピックアップ
*先進企業事例と業界トレンドの今が分かる
*注目の裁判やイベント情報なども随時掲載
(月3回配信、無料)

購読者Web会員登録

「労基旬報」本紙ご購読者の方は、こちらからご登録ください。

人気記事