厚生労働省はこのほど、社会保障審議会年金部会に2024年財政検証結果を報告した。マクロ経済スライドによる給付水準調整終了時点の所得代替率を、4シナリオで試算。24年度は61.2%だが、最良のケースで37年度に57.6%、現実的なケースで33年後の57年度に50.4%へと低下する。一方、適用拡大や基礎年金の拠出期間45年への延長などの制度改革で最大13.1㌽の改善が見込まれるとしたが、「基礎年金45年化」は次期改正で見送る方針だ。
■基礎年金45年化は見送り
年金財政の健全性は、現役男子の平均手取収入に対する標準的な夫婦の年金額の比率「所得代替率」で判断。24年度は順に37.0万円、22.6万円で所得代替率は61.2%となり、経済や労働力の将来像が異なる4シナリオで所得代替率がどう変化するかを検証した。
19年度の前回検証よりも経済の前提に幅を持たせた上で、シナリオ数を6ケースから減らしたのが特徴。また年金の将来像をより身近に感じてもらうために、4シナリオに名称をつけた。
年金水準調整終了時点の4シナリオの所得代替率をみると、「高成長実現ケース」では39年度に56.9%、「成長型経済移行・継続ケース」では37年度で57.6%、「過去30年投影ケース」では57年度に50.4%と、3ケースともに低下するが50%を維持。一方、「1人当たりゼロ成長ケース」では59年度に積立金が枯渇して、完全賦課方式によって賄える所得代替率は33~37%程度まで落ち込むと試算した。
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