■自由時間に影響及ぼさない 精神的な緊張はあるものの
研修医のオンコール待機時間についての労働時間性が否定された事件。原告は業務の終了後に問い合わせに応じるオンコール当番日に、病院外で待機している時間が全体として労働時間に、該当すると主張。緊張状態にはあるが、回数や稼働時間から自由時間には影響を及ぼさないとして、労働時間性を否定しています。
■判決のポイント
原告は、研修医として病院の形成外科に勤務し、長時間労働による適応障害で退職。病院に対して、パワハラに対する損害賠償と割増賃金等を求め、医師特有のオンコール当番の待機時間や休憩という労働密度の低い労働時間性が問われました。パワハラについては、指導の範囲を逸脱していないと判断されています。
年俸制で、日直・当直等は加算されるが、臨時日・当直と時間外手当、早出、呼出、待機、手術手当は本給に含まれるとされていました。判決では、「通常の労働時間の賃金に当たる部分と割増賃金に当たる部分とを判別できることが必要」との最高裁判決(平成29・7・7)を引用し、固定残業代の合意は無効であると判断しています。
当該病院には、終業から始業まで病院の問い合わせに応じるオンコール当番があり、その当番日に病院外で待機している時間が全体として労働時間であると主張しました。
判決は当番時の対応頻度や勤務時間も比較的短時間であるとし、確かに処置のために出勤することがあり得るので精神的な緊張と待機場所の制約はあるものの、労働からの解放が保障されていなかったとまではいえないと述べています。
一方、休憩時間については、PHSで連絡を受け、対応を要求されており、「出勤から退勤までの間、常に本件病院内で、医師としての業務をすることを余儀なくされていたものといえるから、本件契約で定められた1時間の休憩時間も労働時間に該当する」と述べました。
■判決の要旨 私生活上の自由時間と大きく異なるものではない
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