月曜日, 6月 17, 2024

ILOがプラットフォーム労働条約(勧告)に向けて動き出す?(濱口桂一郎)

■連載:人事担当者がわかる最近の労働行政

本誌3月25日号で紹介したように、今年3月11日にEUの閣僚理事会はプラットフォーム労働指令案に特定多数決で合意に達し、今年前半中にも正式に成立する見込みとなりました。これと併行して、より大きな国際レベルでもプラットフォーム労働への法規制の動きが始まっています。国際労働機関(ILO)も来年と再来年の2025年と2026年の2回の審議によって、プラットフォーム労働に関する新たな国際基準を設定する方向に向けて動き出しているのです。

今年の1月31日に、ILOは「プラットフォーム経済におけるディーセントワークの実現(Realizing Decent Work in the Platform Economy)」という100ページを超える報告書を発表しましたが、この末尾には膨大な加盟国向けのアンケート票がついており、既に各国政府と労使団体はこれに対する回答に頭をひねっているところだと思われます。

本報告書の「はじめに」によると、2019年の「仕事の未来に向けたILO100周年宣言」は、すべてのILO加盟国に対し、「適切なプライバシーと個人データ保護を確保し、プラットフォーム労働を含む仕事のデジタル変革に関連する仕事の世界における課題と機会に対応する政策と措置」を講ずるよう求めています。その後ILO理事会は2021年3月の第341回会合で、2022年中に「プラットフォーム経済におけるディーセント・ワーク」の問題に関する三者専門家会議を開催することを決めました。この専門家会議は2022年10月10日から14日までジュネーブで開催され、その結果が同年10月~11月の第346回理事会会合に報告されました。これを受けてILO理事会は、2025年6月の第113回ILO総会にプラットフォーム経済におけるディーセント・ワークに関する項目を議題とすることを決定したのです。さらに2023年3月の第347回理事会会合では、2025年6月の第113回ILO総会では二回討議手続をとることを決定しました。二回討議手続とは、1年目の第1次討議では一般的な原則を検討し、2年目の第2次討議で条約か勧告といった国際基準を採択するものです。ですから、2026年6月のILO総会でプラットフォーム労働に関する条約か勧告が採択されるという日程表がほぼ定まったわけです。

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