■“私”から始まる職場の働きがい改革⑥
ここまで、5回に渡って職場の働きがい改革の進め方をお伝えしてきました。最終回は、 “私”から始まる職場の働きがい改革において、起点となる「自分の働きがいを自覚する」ということについて、お話ししておきたいと思います。
働くということにおいて、何にワクワクするのか。どのような条件は譲れないのか。そのことについて、じっくり考えてみましょう。私自身は出産を機に、働く時間が制限される中でも最大限のパフォーマンスを出すにはどうしたらよいかを考えた結果、自分の強みを発揮できる仕事とは何かを言語化し、そこにやりがいを見出しました。さらに、自分とメンバーの働きやすさを阻害している働き方は何かを分析し、働く時間・場所の柔軟性を高めたり、業務プロセスの改善に努めて生産性を向上させたりしました。その結果、「働きがいのある会社研究所」という社名が紺屋の白袴にならずに事業運営ができているのではないかと思っています。
自分の働きがいを探すお勧めの方法は、仕事上での喜怒哀楽の分析です。仕事のどのような場面で喜び、悲しみ、怒りを覚えるのか。その瞬間には自分の価値観が現れているものです。仕事そのものの性質や仕事を生み出すプロセス、特に顧客や上司、共に働く仲間との接点で感じることなど、人それぞれが仕事に対して喜怒哀楽を感じる観点は異なります。まずは、自分の価値観に向き合い、自分にとっての働きがいを言語化してみましょう。その際に忘れてはならないのが、働きがいは「働きやすさ」と「やりがい」の両輪であるということです。それぞれの観点で自分が大事にすることを見つけていきましょう。
■仲間の働きがいへ
次に、共に働く仲間の働きがいに目を向けてみることをお勧めします。お互いが自分自身の働きがいを自覚できていること、そして、それぞれの働きがいに共感の接点を生み出せていることは、働きがいのある職場をつくる上で欠かせません。組織が立ち上がるタイミングでは、相互理解のために職場メンバー全員で仕事上の喜怒哀楽を共有し合うこともお勧めです。自分にとっては当たり前のことが、周りから見ると「らしさ」や「こだわり」として浮かび上がります。そして、お互いを深く知ることは心理的安全性を高め、チームビルディングにも繋がっていきます。
今、自分の職場の働きがいが足りないと思っているのであれば、働きがいというキーワードを中心において、同僚や上司、場合によっては経営者と対話することが大切です。その際には、本連載を思い出していただければ幸いです。