人手不足が鮮明となり、企業間の人材確保競争が激化している。初任給の引上げ、早期の内定出しを急ぐ企業が増えるなかで、情報提供の重要性、特にSNSを活用した発信の有効性に注目が集まる。
リクルートの調査で、3月18日時点の2025年卒の大学生の就職内定率は49.8%となった。面接など採用選考活動の解禁日となる6月1日まで約2カ月半を残し、ほぼ5割に到達。驚くのは前年同月を10.9㌽も上回っていることで、地域を問わず「運輸業」「金融・保険業」などを中心に例年より人材確保を急いでいることを示唆した。
求職者と企業のマッチング促進のため、厚生労働省は3月29日に「求職者等への職場情報提供に当たっての手引」を公表。中小企業の正社員の中途採用を想定して策定したものだが、正確・適切な職場情報の提供は就職後の離職防止や生産性向上に寄与するとして、新卒採用での手引活用を幅広く呼びかけている。
手引では、募集情報や中途採用比率といった法定項目に加えて、求職者の関心の高い在宅勤務、副業、育児休業、女性活躍、キャリアパス、研修制度など開示が求められている項目を列挙。また採用選考が一定程度進んだ段階での所属予定部署単位の情報提供を推奨したほか、実績が低調で採用に不利に働くような情報さえも、その理由と今後の方針と合わせて誠実に開示することが有効だと訴えた。
情報提供が重要なことは、3月28日に作成した「地域で活躍する中小企業の採用と定着の成功事例集」でも明らかだ。例えば、九州パール紙工(佐賀県小城市)は、SNSの運用で若者の認知度が上昇し、毎年3~4人の新規高校卒の採用に成功。またパソコン導入支援のセラビ(北海道札幌市)は求人票の徹底的な精査が、めっき・研磨業のセンショー(大阪府大阪市)はメルマガ発信と就業体験が、漁具・船具のアサヤ(宮城県気仙沼市)はハローワークネットサービスの直接リクエスト機能の活用が、採用・定着に好影響をもたらしている。
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