■日中と同じ計算でなくても 労働密度は低く、対価の合意もある
グループホームにおける介護支援員の泊まり勤務は、労働からは解放されておらず労基法の労働時間と判決。その上で、労働密度の低い時間帯の割増賃金の基礎となる賃金については基本給ではなくてよいと判断しました。「日中勤務と同じ賃金単価で計算することが妥当であるとは解されない」と理由を述べています。
■判決のポイント
原告はグループホームの生活支援員Xで、宿泊勤務の時間について、割増賃金等の支払いを請求しました。原告の勤務形態は午後3時から9時まで勤務し、そのままグループホームに宿泊し、翌日午前6時から10時まで勤務するというものです。争点は、夜間勤務が労働時間に該当するか、該当する場合、割増賃金の基礎となる単価は基本給でなければならないかが問われました。
判決は、施設には深夜にも行動するような重度の知的障害者が入居しており、その都度支援員が対応していたことから、労働からの解放が保障されているとはいえず、指揮命令下に置かれていたと指摘。夜間時間帯は労働時間に該当すると判断しました。
割増賃金算定の基礎となる単価について、雇用契約では、基本給のほかに、1日当たり6000円の夜勤手当と、基本給の6%の夜間支援手当を支給。実労働時間が1時間以内であるときは夜勤手当以外の賃金を支給しないと就業規則に記載があり、夜勤手当が泊まり勤務の契約となっていたとしました。原告は、基本給が割増賃金算定の基礎となると主張しましたが、「労働密度の程度にかかわらず、日中勤務と同じ賃金単価で計算することが妥当であるとは解されない」と原告の主張を退け、残業代を計算する際の基礎となる賃金は夜勤手当であると結論付けています。
労基法37条は、時間外労働を抑制させる趣旨であり、労働密度の薄い勤務について労働の対価が合意されているので同条には違反しないと述べています。
■判決の要旨 労働の対価が合意されている 労基法37条には違反しない
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