金曜日, 11月 22, 2024
ホーム判例年休取得申請と時季変更権行...

年休取得申請と時季変更権行使 JR東海(年休)事件(令和5・3・27東京地裁判決)

■常時代替要員が確保できない 「事業の正常な運営を妨げる」に該当せず

JRの新幹線の運転士が年休を希望通りに取れず、時季変更権を行使され(就労を命じられ)たことについてJR東海に対して損害を賠償請求しました。恒常的な要員不足の状態では、年休取得で事業の運営に支障が出るとしても時季変更権は行使できないとして、慰謝料請求が認められています。

■判決のポイント

原告であるJRの新幹線乗務員は就業規則などに基づき、毎月20日までに翌月の年休希望を申請することになっていました。会社は前月25日に勤務割を指定し、就労義務がある日と年休取得日を確定していました。

勤務体制は、定期行路と臨時行路があり、後者は臨時の業務に従事する可能性から、勤務日の5日前に発表され、時季変更権の行使もこれによって確定されていました。

論点は、JR東海の時季変更権の行使が遅延だったか、時季変更権の行使が恒常的な要員不足に陥ったままなされたのかについてです。

前者について会社は、日々の需要に応じて臨時列車を運行するためにやむを得ないと主張しましたが、判決は、旅客需要の高まりは労働者とは無関係である上、臨時列車の手配は指定席が取りやすい状態を維持するという経営方針に基づくものであるから、時季変更権行使に必要な期間を5日前とするのは、常務員らに不利益であるとしました。

後者については恒常的な要員不足に陥っていたことは認めつつ、その状態で時季変更権を行使することのないよう配慮する労働契約上の義務を負っているのだから、これを怠ったまま、時季変更権を行使することは債務不履行を構成する、とし労働者の慰謝料請求を認めました。

同様のJR東海の訴訟では、全乗務員が年休20日を取得できることを見込んだ人員配置があったことから、恒常的な要員不足の状態を認めず、5日前に確定しなくても事業運営上、必要として労働者が敗訴しています。

■判決の要旨 5日前まで年休確定できない 高度の経営上の必要性なく

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン

eight − 7 =

   

「労基旬報」メールマガジン

*厳選されたニュースで労働行政の動きをチェック
*人事・労務の実務テーマで記事ピックアップ
*先進企業事例と業界トレンドの今が分かる
*注目の裁判やイベント情報なども随時掲載
(月3回配信、無料)

購読者Web会員登録

「労基旬報」本紙ご購読者の方は、こちらからご登録ください。

人気記事