日曜日, 11月 24, 2024
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精神障害発覚による退職勧奨は 中倉陸運事件(令和5・3・9京都地裁判決)

■配慮欠くと慰謝料請求容認 業務への影響の意見を聴くことなく

入社直後に精神障害等級3級の認定を受けている書類を提出したところ、退職に至った労働者が退職勧奨が不法行為に当たるとし訴訟を提起しました。退職勧奨については不法行為を認めない一方で、障害者に対して適切な配慮を欠くとして慰謝料80万円が認められています。

■判決のポイント

原告である労働者は大型自動車の運転免許を有する者で、障害等級3級の精神障害者保健福祉手帳を有しています。

会社は、大型自動車の乗務員を求人していたところ、ハローワークから原告を紹介されます。面接の際には持病があるため、月に1日通院しているとの記載がある職務経歴を提出。健康診断報告書に、うつ病で通院ないし服薬治療中との記載はありませんでした。

体験入社の際に、持病に関し就労可能であることを示す主治医の診断書の提出を求められたことを受け、うつ病が記載された診断書を提出しました。入社直後「精神障害3級」との書類を提出したところ、会社は服薬があるのなら雇用は困難であると伝え、退職手続きのため出社するよう要求。原告は出社し退職理由を「一身上の事由」とする退職届を提出しました。

原告は、退職届の提出に錯誤があると主張しましたが、過去にも、複数回退職届を提出することがあり、退職届の意味するところを十分に理解しているというべきであるから、心理留保があるということはできないと断じています。

一方、原告からはうつ病で通院、服薬治療を受けていることを聴取したのみで、健康状態や業務に及ぼす影響について専門家の意見を聴くこともなしに、雇用を継続することは難しいとして、退職勧奨に及んだ、と指摘。障害者に対して適切な配慮を欠き、人格的利益を損なうものであって、不法行為を構成するとしました。慰謝料としての請求は、80万円が認められています。

■判決の要旨 錯誤ということもできない 意味を十分に理解していた

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