月曜日, 5月 6, 2024
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残業代未払いで取締役の責任は そらふね元代表取締役事件(令和5・2・22名古屋高裁金沢支部判決)

■管理監督者扱いに重大な過失 残業代を支払わないために利用した

介護施設で勤務していた主任ケアマネージャーが管理監督者として扱われて以後、残業代が支払われなくなったことから取締役に対して、会社法429条1項に基づき未払残業代相当の損害賠償を請求した控訴審。残業代を支払わないために管理監督者制度を利用したことに重大な過失があるとして、請求を認めています。

■判決のポイント

ケアマネージャーとして雇用されていたXは、平成31年3月に主任に就任した後は管理監督者として扱われ、残業代が支払われなくなりました。

Xは時間外労働に対する割増賃金を支払うことは使用者の法的義務であり、代表取締役Yには残業代を支払わせなかったことに任務懈怠が認めらると主張。また、Xが管理監督者でないことは容易に判断できるのにもかかわらず、そのように扱ったことについてYに重大な過失があったと労働者は主張しました。

1審では、Xの管理監督者性を否定した上で、Yには残業代支払いを手配させる義務が取締役にあったのだから、これを怠ったのは任務懈怠に当たり、原告に生じた損害を賠償すべき義務があるとしました。一方、残業代の未払いの原因は経営難にあり、管理監督者として扱われたことが理由ではないとし、Yの任務懈怠が原因ではないとして請求を認めませんでした。

本判決は、社会保険労務士の助言で管理監督者と扱って残業代を支払わないことを決め、社会保険労務士から労働基準法上の管理監督者とはどのようなものか、業務がふさわしいかを判断しなかったことを指摘。残業代を支払わないために利用したにすぎず、重大な過失があると判断しました。残業代を支払うことができないほどの経営状態を認めることはできず、Yの任務懈怠と損害との間に因果関係があるとし、会社法429条1項に基づき、各月の残業代合計額と弁護士費用に相当する損害賠償の支払いを求める理由があるとしました。

■判決の要旨 どのような立場のものなのか ふさわしいかを相談せずに

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