土曜日, 11月 23, 2024
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無期契約に伴う労働条件の変更 アンスティチュ・フランセ日本事件(令和5・1・18東京高裁判決)

■旧契約維持されないと明らか 民法629条1項、労契法19条は適用されず

フランス語の授業を担当してきた非常勤講師らが、労働条件の引き下げには応じられないとした上で、期間の定めのない雇用契約の締結には応じたのだから、民法629条1項が適用されると主張。判決は、異なる条件と知りながら交渉していたのだから、従前の条件は引き継がれないと、訴えを退けています。

■判決のポイント

訴えを提起した非常勤講師らは、6カ月または1年とする雇用契約を更新してきました。

争点の一つとなったのは契約変更前の同一の賃金が維持されるかどうかについてです。平成30年2月、講師らは期間の定めのない雇用契約の契約書に署名して送付。そこには新しい時給が提示されていたため、契約の期間が無期限である部分については受け入れるが、新時給表の適用については留保することを明らかにしていました。

講師側は民法629条1項の規定が適用されると主張しましたが、判決で同法は、「期間の定めのある雇用契約について、期間満了後も労働者が引き続きその労働に従事し、使用者がこれを知りながら異議を述べない場合に、労働者と使用者の従前の雇用関係が事実上継続していることをもって従前と同一の条件で雇用契約が更新されたものと推定する趣旨の規定である」と規定しており、学校は旧時給表を適用することに一貫して否定していたのだから、異議を述べなかったということはできないと訴えを退けています。

更新の事情が明らかではないこと、また、労使協定で、各契約期間満了後は、旧契約の内容は更新されないと明記されていたことも併せて考えると、「旧契約が更新されるものと期待されることに合理的な理由がある(労契法19条2号)とは認められない」とも述べています。

なお、年間時間数は、前年に実施された時間数の7割を下回らないとの規定があり、補償金の支払い請求は認められています。

■判決の要旨 無期か有期か雇用契約の終了 いずれかの選択肢しかなく

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