水曜日, 5月 1, 2024
ホーム連載役員報酬の適正分配率(窪田千貫)ストックオプション(株式購...

ストックオプション(株式購入権)の導入(役員報酬の適正分配率 第11回)

【連載】役員報酬の適正分配率 業績連動式賞与制で年収倍増を⑪ 著者:窪田千貫

1 役員報酬としての自社株を

取締役の報酬を自社の株式で交付する企業が急速に増えている。これは年間の業績に連動する形で交付する株式数を決める仕組みであり、業績向上のための動機づけと同時に、報酬の透明性を高めるためである。それは企業に報酬改革を求める企業統治指針の適用を踏まえて、固定的な役員報酬の変動化を始めるものである。

この業務連動の株式報酬は、信託銀行が2012年から始めたサービスを使うのだが、企業は役職や業務に応じたポイントを役員に与え、在任中や退職後のポイント数に応じた株式と交換するのが基本的な仕組みである。在任中に株式を交付するのだが、退職するまでは売却できないケースが一般的であり、業績向上の動機づけを高めるものである。

したがって、そのためには、短期中期経営計画の樹立が必要であり、その実現のためには、それと細分化した部門別目標管理を行うことになる。そして、目標未達の場合は、交付される株式が減るので、業績の向上に励むようになる。

もちろん、具体的には制度設計は各社の方針によって異なる。基本的な仕組みは以上のとおりであるが、固定的報酬の70%程度から80%程度であった比重を、欧米並みの40%程度から60%程度に下げるケースが多い。

このストックオプションも業績連動型だが、株価が上がらずに権利行使が出来なかったり、逆に、短期的な業績と株価の上昇を招いたりする側面がある。

ストックオプションも数々のメリットはあるが、この直接に自社株を交付する制度は、中期的な企業価値の向上を促すという意味では、業績連動性が高いという側面もあるが、そのとおりである。だから、この制度を導入する大手企業が多いのである。


用語解説:ストックオプション制度

会社役員や従業員に対し、あらかじめ決められた価格(権利行使価格)で自社株式を購入できる権利を与える制度をいう。株価が権利行使価格を上回っているときに権利を行使することによって売却益を得ることができる。

役員向けに株式購入権を付与するストックオプションが一般的だったが、2012年に株式給付信託が始まり、16年の税制改正で譲渡制限付き株式(RS)が解禁されたことで従業員向けにも導入が広がっている。2022年7月に改定された経済産業省の「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針」では、「幹部候補人材に早い段階から企業価値や株価に対する意識やエンゲージメントの向上効果が期待でき、人材の価値を引き出しながら企業価値を高めていく上で意義がある」との考え方も示されている。


2 ストックオプションの仕組み

この情報へのアクセスはメンバーに限定されています。ログインしてください。メンバー登録は下記リンクをクリックしてください。

既存ユーザのログイン

16 + 12 =

   

「労基旬報」メールマガジン

*厳選されたニュースで労働行政の動きをチェック
*人事・労務の実務テーマで記事ピックアップ
*先進企業事例と業界トレンドの今が分かる
*注目の裁判やイベント情報なども随時掲載
(月3回配信、無料)

購読者Web会員登録

「労基旬報」本紙ご購読者の方は、こちらからご登録ください。

人気記事