■叱責の一斉送信はパワハラ 内容も感情的で客観的ではない
パワハラ行為者への譴責処分と配転命令が有効と判断された事件。部下への叱責の内容を、対象者以外にも一斉に送信した行為と、メールの文言もパワハラと評価。そのうえで、配転は業務上の必要性があり、会社に不当な目的があったものと認められないとして、原告の訴えが退けられています。
■判決のポイント
原告は化粧品の販売等を営む会社で、副課長の地位にありました。
令和2年に、会社から、パワハラに該当するとして譴責処分を受けました。処分の対象は部下の言動について「目に余るものを感じている」と記載されたメールを第三者も含めて送信した行為です。私的領域に踏み込むような内容の連絡を、何度も送信する行為も処分の対象となりました。
その後、社長室へ配転命令を受けたことから原告は、会社に対し、譴責処分の無効確認と、社長室で勤務する雇用契約上の義務がないことの確認を求め提訴しました。
判決は、部下へのメールをパワハラと認定。送信先に当該部下以外の者を含めて送信していたことや「Aさんの言動にも目に余るものを感じております」といった文言は、「客観的な事実を指摘することなく、感情的に叱責する印象」としてパワハラであると認定しています。
他の叱責などは、パワハラではないと認定されているものもありますが、部下が会社に行った相談内容を聴き出そうとしたことも、「上司としての地位を利用して、私的領域に踏み込んだもの」と指摘しました。
配転については、不当な動機や目的がなく、労働者が通常甘受すべき程度を著しく超える不利益を負わせるのは権利の濫用ではあると前置き。高度の必要性までは要せず、合理的な運営に寄与する点が認められれば業務上の必要性があるとした上で、パワハラ行為を行った原告を配転させることは、業務上の必要性があったと判断しています。
■判決の要旨 感情的に叱責する印象 「目に余るものを感じる」の文言
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