木曜日, 11月 21, 2024

北の大地 監視の目で守る 稗田一俊さん(カメラマン)

■おんな流 おとこ流~仕事を訪ねて~(56)

北道新幹線と残土処分場を望む山の斜面に立つ稗田さん(右)と「新幹線トンネル有害残土を考える北斗市民の会」の坂本会長(11月8日、北斗市で)

2016年に新青森―新函館北斗間で開業した北海道新幹線。東京―新函館北斗間を4時間前後で結ぶが乗車率の低迷にあえいでいる。JR北海道は厳しい経営環境立て直しの「切り札」として東京―札幌間を約4時間半で結ぶ目標を掲げ札幌延伸工事を進めている。(井澤宏明)

当初の予定を5年前倒しして30年度末の開通を目指しているものの、羊蹄トンネル比羅夫工区で巨大な岩塊出現により工事が約4年遅れていることに加え、今年10月には札幌オリンピック・パラリンピックの30年と34年の開催が絶望的になり、開業時期の見直しも取りざたされている。

新函館北斗―札幌間約211.9キロのうち約80%にあたる約168.9キロがトンネルだ。札幌ドーム約12杯分の約1960万立方メートルの残土(発生土)が排出される。本州で建設が進められているリニア中央新幹線でも約86%を占めるトンネルから掘り出される膨大な残土が工事のネックになっているが、先行する北海道新幹線では既に、ヒ素やセレンなどの重金属を基準値以上含む「有害残土」(要対策土、対策土)が掘り出され各地に積まれている。

北海道新幹線の建設主体である独立行政法人「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」(鉄道・運輸機構)が作製したパンフレットには、「トンネル発生土の疑問に答えます!」としてQ&A集が掲載されている。

Q 健康被害はありませんか?
A 環境基準を遵守しています。
Q 重金属が混ざった発生土は適切に処理されますか?
A 最適な対策を選択して施工します。
Q 対策土に触れた雨水が流出しませんか?
A 工事中の排水を管理して流出を防止しています。

といった具合だ。本当に周辺の自然環境や生活環境に影響を与えていないのだろうか。現場に足繁く通い、調査した事実を突きつけて、鉄道・運輸機構や地元自治体に改善を求め続けている人がいる。「流域の自然を考えるネットワーク」スタッフでカメラマンの稗田一俊さん(75)だ。

■清流が「死の川」に

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