木曜日, 11月 21, 2024
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臨時雇員の賞与不支給と8条違反 Aホテル事件(令和5・6・8大阪地裁判決)

臨時雇員への賞与の不支給についてパートタイム・有期雇用労働法8条に違反するものであると臨時雇員が主張。本判決では職務の内容等について判断したほか、賞与の性格について、業績に連動しなくても支給しているので、正社員には人材確保と定着を図る目的があったとして、違法ではないと訴えを退けています。

■人材確保と定着の目的がない 業績に連動していないことも評価

原告は平成29年、被告ホテルで臨時の雇用契約を締結し購買部で勤務。令和3年に退職しています。原告は賞与の有無という労働条件の違いが短時間・有期雇用労働法8条に違反するとして、不法行為に基づき、賞与相当額を求めました。

正社員の賞与は業績を踏まえ労使協議を経て決定されるのに対し、臨時雇員の賞与については定めはなく、その都度決定するとしていました。正社員に対しては、夏と冬で月収の2カ月程度を支給。コロナ禍で業績が大幅に落ち込んだ以降は1.1カ月分の賞与が支給されていました。臨時雇員に対しては、平成23年度以降は賞与が支給されていませんでした。

判決は、業務内容の責任の程度や人事異動と賞与の性格から判断しました。

賞与の性格について、正社員に対する賞与はコロナ禍で業績が落ち込んでも支給されていることから、業績に連動してはおらず、労務の対価の後払いや功労報償の趣旨のほか正社員としての職務を遂行しえる「人材を確保してその定着を図る目的があった」としています。

一方、臨時職員の賞与は支給されることはあっても、数千円程度にすぎず、10年以上支給されていない状況から、恩恵的給付としています。「正社員の賞与のような人材確保と定着を図る目的があったとは認められない」として、臨時雇員への不支給は許されるという結論になっています。

責任の程度や人事異動の有無、正社員登用制度もその他の事情として考慮。8条違反を認めませんでした。

■判決の趣旨 臨時職員に対しての賞与 恩恵的給付として性格が強い

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