介護離職が喫緊の課題だとして介護する有業者、いわゆるビジネスケアラー支援の議論が政府内で活発化している。経済産業省はこのほど企業経営と介護両立支援に関する検討会を発足し、支援策をまとめたガイドライン策定の議論を開始。一方、厚生労働省では、労働政策審議会雇用環境・均等分科会で法改正を視野に入れて審議しており、両立支援制度の個別周知や意向確認を義務化し、相談対応や研修実施など雇用環境を整備する方向で調整している。
■両立制度周知義務化も
経産省の検討会の初会合では、介護離職が喫緊の課題との認識を共有。介護離職者が2020年の7万人から30年に11万人に増加するほか、ビジネスケアラーも30年に318万人まで増加するとして、仕事と介護の両立支援を講じることで意見が一致した。
検討会では、経産省が実施する調査・ヒアリング・支援策の効果検証などを踏まえ、介護発生による経営上の影響、両立支援を講じるべき企業の特徴・傾向の分析、先進事例などを整理。企業が取り組むべき支援策を具体的にとりまとめ、年度内を目途にガイドラインを策定する方針だ。
例えば、企業独自の取組を充実させる方策として、「経営層による取組方針の発信」「従業員アンケートを通じた介護に従事する現在人数と将来人数の把握」などを盛り込む考え。その上で、社外人材の活用も視野に入れて、「介護に直面する前段階での説明会・セミナーの受講」「マネジメント研修の実施」「相談窓口の設置や取り次ぎ」「面談機会の確保」に加え、組織風土の醸成に向けた「チャットツールを活用したコミュニケーションの場づくり」、柔軟に働くことを可能にするための「平時からのフレックス勤務、リモートワークの活用」などを推奨するものとみられる。
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