■大学病院では9割以上 労働時間把握は副業含め
2024年4月から勤務医に対しても時間外労働の上限規制が適用されることになった。病院に勤務する医師については原則で休日労働を含んで年間960時間、月の平均で残業の上限が80時間までの規制が適用される。
地域医療では年間1860時間が上限となる特例があるが、これも、10年程度で解消することが目標となっている。また、連続勤務は28時間以内にとどめるという制限が新たに設けられた(時間外労働が年960時間以下の医師は努力義務となる)。労働時間の通算時間も、自社と副業・兼業先での法定外労働の時間と休日労働の時間を合わせて、単月100時間未満(ただし面接指導等の措置を行えばそれ以上)とする必要がある。
▼2023年11月24日訂正履歴:「単月100時間未満、複数月平均80時間以内」を、「単月100時間未満(ただし面接指導等の措置を行えばそれ以上)」に訂正いたしました。複数月80時間以内の規制はありません。お詫びして訂正いたします。 医師の労働時間制限については、自らの医療機関における時間外労働及び休日労働を合算した時間数は、1カ月について100時間未満、1年間について960時間(B・C水準は1860時間)。ただし、面接指導等の措置を講じた場合、「1カ月について100時間未満」という規制は適応されず、1年間について960時間(B・C水準は1860時間)という規制のみ適用される。
この上限規制が、医師の副業にどう影響するのか。「2019年医師の勤務実態調査」によれば、病院常勤勤務医の約6割が主たる勤務先以外での勤務を行っている。特に、大学病院の常勤勤務医ではその割合は9割以上だ。主たる勤務先が大学病院の場合、そこでの勤務時間が週60時間の範囲内に収まる勤務医は全体の76.2%だが、それでも、兼業先での勤務時間を通算すると週60時間を超過する医師が全体の23.3%となる。
医師がアルバイトを行う場合は、副業・兼業先の労働時間の把握は原則、常勤先の医療機関が担う。勤務先は医師が副業・兼業を行っているか、その上で、一般の病院では時間外・休日労働が年960時間(特例は1860時間)を超える医師がいるかを把握しなければならない。
労働時間管理についての厚生労働省の回答では、「地域医療支援を行うために医師を他の医療機関へ派遣している場合や、自院で雇用する医師が副業・兼業を行っていることを把握している場合、医師本人の自己申告等により、副業・兼業先の労働時間を把握し、把握した副業・兼業先の労働時間と自院での労働時間を通算して、労働時間を管理していただく必要があります。このため、副業・兼業先の勤務予定や労働時間を把握するための仕組み作りが重要です」とし、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を確認するようにと記載している。
ガイドラインでは、労働者からの申告等が無かった場合には労働時間の通算は要しないとする。また、労働者が申告した労働時間が事実と異なっていた場合でも、「労働者からの申告等により把握した労働時間によって通算していれば足りるとされている」としている。
医師が正確に申告する仕組み作りが必要となる。
■年休、休日、休憩通算されず 「ガイドライン」の解釈では
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