■休職の原因のみで判断を 理由に含まれない事由での退職は違法
コミュニケーションや社会性の問題を抱える労働者が、適応障害を発症して休職し、復職を判断することなく退職に。判決では、休職事由消滅を判断するには直接の原因となった適応障害から判断すべきで本人の特性と区別すべきと判示。適応障害であれば復職可能であり、休職期間満了での退職は無効と判断しています。
■判決のポイント
映像装置を開発・販売する会社に原告は総合職として平成26年4月に入社。採用時には問題とされていなかったコミュニケーション能力ですが、入社してからは他社員との会話もなく、同年9月には職場で涙を流すようになります。
入社2年目の平成27年には産業医が病気の可能性を指摘。車で迎えに来た両親の車に乗せるために、従業員らが四肢を抱きかかえて会社から連れ出した経緯があります。精神科の医師からは「適応障害」との診断を受けました。
平成28年に私傷病休職とリワークプログラムを行い、平成29年には障害者職業センターのカウンセラーが一度は復職させたい、と意見を述べましたが、会社はグループ会社への障害者雇用なら推薦するが、それ以外は退職になることを伝えました。休職期間を延長した後、会社が指定した医師の診断書を提出しないまま、休職期間を徒過したとして自然退職となりました。
判決では休職理由は入社2年目頃から発生した適応障害であり、本来的に持つ原告の特性とは区別されなければならないと述べています。そして、適応障害は寛解しているのだから、段階的に復職させるべきであったとしています。
会社は、原告の人格や特性をあげて復職不可と判断したと主張しましたが、「休職理由に含まれない事由を理由として、解雇権濫用法理の適用を受けることなく、休職期間満了による雇用契約の終了という法的効果を生じさせることは許されない」と判示しています。
■判決の要旨 発達段階特性を事由とする解雇は権利の濫用である
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