土曜日, 11月 23, 2024
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在宅勤務者への出社命令の有効性 アイ・ディ・エイチ事件(令和4・11・16東京地裁判決)

■チャットの悪口で処分は無効 私的な会話は通常でもあるので

就業場所を自宅に限定しているデザイナーがリモートワーク中に被告代表者の悪口を従業員間でやりとり。それが判明した後に、代表者が原告を懲戒処分し、通常出勤を命じたものの原告が拒否。欠勤後に退職しました。判決は、それまでの契約や出社命令を発した経緯から、出社の必要性はないと判断しています。

■判決のポイント

原告は、デザイナーとして被告との間で労働契約を締結しました。就業場所については、自宅となっていました。

原告は、業務中に、メッセージ機能で他の従業員との間でやりとりをするなかで、被告代表者の悪口を書き込みます。それが被告代表者に判明し、出勤停止1カ月とする懲戒処分を決定します。そして、出勤停止後はリモートワークを禁止し、通常出勤とする旨を通知しましたが、原告は出勤しませんでした。

被告代表者は、3月に業務中に業務とは関係ないチャットを行ったとして降給を実施。14日間の欠勤により原告は退職扱いとなりました。

争点は懲戒処分と出社命令、退職扱いの有効性です。

判決は、在宅勤務をしている労働者の労働契約上の就業場所について、当事者の言動や実態から原則として労働者の自宅であるとした上で、業務上の必要がある場合に限って、出社を求めることができるとして、業務命令の範囲を限定しました。

出社命令の経緯として、長時間業務に関係ないやりとりがあり、管理監督上の観点から出社を求めたと被告は主張しましたが、判決は、オンラインでなくても私的な会話はあり、代表者への揶揄を不快に感じたことは理解できるが、労働者を管理する業務上の必要性が生じたとはいえないとしました。

原告の欠勤については「労務の提供をしていないことは、被告が事務所に出社を命じることができないにもかかわらず、これを命じたためであり、被告の『責めに帰すべき事由』」と指摘しています。

■判決の要旨 オンライン上に限らず私的な会話はあるので

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