土曜日, 11月 23, 2024
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家政婦への労災保険法適用の可否 国・渋谷労基署長(山本サービス)事件(令和4・9・29東京地裁判決)

■家事使用人として対象外 介護の業務量も特に過剰ではない

要介護者の自宅に住み込み、介護サービスと家政婦業に従事していた女性が、業務後に死亡。労災の給付を請求したところ不支給に。遺族は介護と家事を一体として会社の業務に従事していたと主張しましたが、判決は家事は労基法の「家事使用人」として労災の対象外であり、介護業務は過重ではないと請求を斥けました。

■判決のポイント

亡花子は家政婦紹介あっせん業と訪問介護サービスを行うB社と労働契約を締結。C宅から住み込み家政婦兼訪問介護ヘルパーの求人と派遣を申し込まれ、亡花子をヘルパーとして選定すると同時に家政婦としてあっせんしました。

C宅には要介護5の母親と息子Aがおり、亡花子はAとの間で平成27年5月20日から27日まで日給1万6000円、業務内容を介護、勤務形態を泊まり込みとする雇用契約を締結しました。一方、B社との間では、1日4時間30分が介護業務の実施時間とされていました。

亡花子は平成27年5月27日、業務終了後に利用したサウナで倒れ、急性心筋梗塞又は心停止により死亡しました。遺族が渋谷労基署に遺族補償給付及び葬祭料を請求したところ、家事使用人を規定した労基法116条により労災保険法は適用されないとして不支給となり、遺族が処分の取消を求め訴訟を提起しました。

判決は、家事業務は息子Aとの間で締結された雇用契約に基づく業務であり、労基法116条2項所定の「家事使用人」に該当するとしました。一方、介護業務はそれに該当しないので、「家事使用人」に該当することのみでの処分は違法と指摘。しかし、B社の介護業務の部分が対象であったとしても、168時間の拘束時間のうちの総勤務時間は31時間30分であり、その業務時間、業務量が特に過剰であったとか、著しい疲労の蓄積をもたらすものであったとは認めがたいとしました。業務に起因して死亡したと認めることは困難として、労災の支給請求を退けています。

■判決の要旨 業務はそれぞれ異なる 家政婦業務に指揮命令なし

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