顔を一度も合わさず、声すら聞けぬ相手に対し、いかにして恋愛感情を抱かせるのか。SNSの普及とともに、詐欺師の手口は日々巧妙化している。
『国際』の二文字を冠するとおり、犯人は遠く離れたアフリカ・ナイジェリアにいた。翻訳アプリが吐き出す珍妙な日本語と、優しい言葉の文字の羅列が心の隙間に入り込む。まずは荷物の保管料を皮切りに、税金の支払い、いつしか暗号資産の投資話へ。縁が切れてしまうことへの焦燥感からか、言われるがまま、あの手この手で詐取されていく。
貧困だけが理由ではない犯罪の現実を探りに、現地に乗り込み、詐欺師たちへ直接取材を敢行する渾身のルポルタージュ。