■中小企業のための 役割行動主義人事による 組織風土改革プロジェクト成功の秘訣~社員自ら創る行動基準が会社を変える~ 第11回 行動基準の作成(上)(堀之内克彦:㈱エムケーパーソナルセンター代表取締役、組織風土改革ナビゲーター、社会保険労務士、中小企業診断士 )
「アクテンシー」(行動基準)の作成は、プロジェクトで最も重要なプロセスでありアウトプットです。その考え方と基本、そして作成の実務について2回にわたり解説します。
「期待する人材像」を行動として明示する
アクテンシーとは「わが社でとるべき重要な行動を具体的に表現したもの」と定義することができます。類似の指標である「コンピテンシー」は好業績者の思考・行動特性を表すのに対し、アクテンシーは業績に必ずしも直結しません。一般的な中小企業ではそもそも行動のあり方が明確化されておらず、個人によって考え方や行動がバラバラで企業業績や人間関係に支障をきたしていることも少なくないからです。
アクテンシーは、人事制度の要である「期待する人材像」を行動として明示したものです(連載第4回)。「能力」は目に見えませんが「行動」は目に見えます。つまりアクテンシー(行動基準)は、顕在化された能力を測る指標と捉えることができます。
役割行動等級制度では、「等級」によって求められる行動レベルが異なります。等級ごとにアクテンシーを設定することで、各階層の社員の行動レベルの向上を促し、それはダイレクトに会社業績の向上につながります。一方、社員自身にとっても賃金などの処遇や労働条件の上昇となって行動の結果が現れます。
つまり会社や上司にとっての社員への指導目標の基準が、同時に社員にとって自らの努力で処遇を高めるための行動改善目標にもなるわけです。
企業にフィットしたアクテンシーを作成し、人事評価や目標管理などで適切に運用することができれば、企業の業績向上や社員の成長、人間関係改善、企業風土改革といった善循環のサイクルが回り始めるのです(連載第8回の事例参照)。
会社の課題を深める議論が行動基準づくりの基盤
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