月曜日, 11月 25, 2024
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AIスクリーニングで雇用差別? 米システム開発会社への集団訴訟も

チャットGPTなど生成AIの利用が世界で急速に拡大するなか、人事・労務分野でのAIリスクを顕在化させる集団訴訟が米国で起きている。Workday(米カリフォルニア、以下ワークデイ)が企業の採用選考向けに提供するAIを活用したふるい分け(スクリーニング)ツールが、人種や年齢、障害による雇用差別を生んでいるとして同社が訴えられた裁判だ。生成AIを前向きに活用していくために、回避すべきリスクは何か。訴訟の詳細から探る。

■公正な競争を求めて

今年2月に米カリフォルニア州北部地方裁判所に提出された訴状によれば、原告のデレク・L・モブリー氏は40歳超の黒人男性でうつ病を抱えている。同氏は大学で金融の学士号を取り、さらにIT専門学校でネットワークシステム管理の準学士号を取得している。

モブリー氏は2018年以降、80~100社の求人に応募したがいずれも不採用となった。訴状では、応募した企業はワークデイが提供する応募者を絞り込むAIスクリーニングツールを利用しており、これらのツールで人種や年齢、障害の有無で排除された応募者は採用プロセスに進むことができず、ワークデイは職業紹介事業者(employment agency)として差別禁止の法令に違反すると原告は主張している。

これらのツールは、米国で働きがいのある企業ランキング「フォーチュン500」認定企業を含む数百の企業で利用されていると指摘。今回の訴訟は、共通の利害を有する一定範囲の人びとを代表して原告となる集合代表訴訟(クラスアクション)として提起されており、裁判の効力は同様に不採用となった他の応募者にも及ぶ可能性がある。

訴状では特に、これらのスクリーニングツールが「意識的または無意識的に差別の動機が組み込まれている人間によって作成されたアルゴリズムと入力に依存している」と指摘。雇用差別にはビジネス上の必要性がなく、原告を含めた訴訟参加者が「仕事を求めて公正に競争し、同様の立場の従業員に与えられてきた雇用条件を享受できるよう」、差別の認定と差し止め、ワークデイ社のAIスクリーニング製品のポリシーや慣行、手順を改革する救済などを求めている。

AIツールに起因する雇用差別については、米連邦政府も取り締まりの姿勢を強めている。雇用機会均等委員会(EEOC)は今年1月、2023~27年度の戦略的執行計画草案(SEP)の冒頭で、「応募者の採用のための人工知能または機械学習を含む自動システムの使用」による差別防止を明記。特に重視すべき観点として、人種、民族、宗教集団、高齢労働者、女性、妊娠中の労働者、LGBTQI+の個人、障害者などをあげている。

■AIはむしろ差別防止に活用も

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