木曜日, 4月 25, 2024
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民族的出自への差別発言の違法性 フジ住宅ほか事件(令和3・11・18大阪高裁判決)

■差別ない職場で働く利益が 差し止め請求も認められ

会社がどのような価値観を働きかけるかについては裁量権があるが、労働者にも民族的差別的思想が放置されない職場で就労する人格的利益があり、会社が民族的出自を有する者を侮辱的表現で批判する文書を配布することは職場環境配慮義務に違反すると判断。資料配布の差し止め請求も認められています。

■判決のポイント

大手不動産会社であるフジ住宅で雇用され韓国籍を有する原告が、同社で、中国、韓国、北朝鮮の国籍を有する者を誹謗する旨の政治的見解が記載された文書の配布行為に対して、損害賠償と文書配布の差し止めを求めた事件です。

判決は、どのような経営理念や価値観を妥当と考えるのか、そのための働きかけの方法や内容については、業務命令などによるものではなく、従業員に対する強制や不利益の契機を伴わないのであれば、経営社の広い裁量権が認められるべきであるとした一方で、憲法14条や人種差別撤廃条約および差別的言動解消法の趣旨について述べながら、労働者には「民族的出自等に関わる差別的思想が醸成されたり放置されることのない職場で就労する人格的利益があり、会社には、職場で民族差別の思想を起こさせ、人種間の分断を強化することがないよう配慮する義務がある」と述べました。

この点、『在日は死ねよ』といった資料を職場で配布することは、差別を扇動する効果に変わりはなく、差別的思想を醸成する行為に該当するので不法行為責任を負うとしています。

■判決の要旨 分断ないよう配慮義務 差別禁止だけでは足りず

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