採用活動において、企業が求職者に仕事や組織の実態について良い面だけでなく悪い面も含めた、ありのままの情報を提供すること。求職者を惹きつけるため良い情報だけが提供される矛盾を解消することで、従来どちらかというと組織が個人を選択する観点が中心だったものを逆転させ、個人の能動的な組織選択を促し、企業と求職者が互いに適合性を見極め「選び合う」ことを重視している。1970年代以降、米国の産業心理学者ジョン・ワナウスらを中心に研究が積み重ねられ、企業と求職者との適合性や定着率を高める効果が確認されている。
具体的には、リアルな情報の開示により①職場や仕事への過剰な期待を事前に緩和し、入社後の失望・幻滅感を軽減する「ワクチン効果」、②ミスマッチで会社を辞める可能性の高い潜在的な離職者のエントリーが抑制され、本気度の高い求職者に絞られる「自己選抜・マッチング効果」、③企業の誠実さに対する求職者のポジティブな評価や愛着意識が高まる「コミットメント効果」――などが実証されている。